菅・「アベ亜流」政権の正体 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


安倍晋三首相の辞任表明前にこの
ブログで予想した通り、菅義偉官
房長官の野望が実現する気配にな
った。自民党の各派閥議員は新た
な権力の中心に近づこうと、「菅
支持」に雪崩を打つような流れだ
。辞任直後は「アベ政治」の害毒
が少しは減ずるかと思わせたが、
それは空しい期待だった。なぜな
ら「政権の継承」が菅次期政権の
キーワードであるからだ。何も変
わらないどころか、これまで以上
に世論を無視した政権運営になる
のではないか。


まだ新政権が誕生もしてないのに
、そう悲観的に考えるのは、菅氏
のこれまでの言動が強くそう推察
させるからである。安倍首相と一
心同体になって政権運営を行って
きた菅氏は、すべての政策につい
て陰に陽に関わってきた。そして
、記者会見では、常に「息を吐く
ように」嘘を口にしてきた。権力
を私物化してきた「森友、加計、
桜」では自らスキャンダルの隠蔽
に積極的に関与した。


記憶に新しいのは、加計学園の国
家戦略特区指定にあたって、文科
省から見つかった「首相指示」を
思わす内部文書を「怪文書の類」
と切り捨てた。後に文科省内部の
公文書だったことも発覚した。長
く事実を隠蔽しながら、記者の質
問を誤誘導し続けた。核心を突い
た問いかけにも「あたらない」「
指摘は正しくない」と言い続けた
。よく表情も変えずに嘘がつけつ
ものだと感心するほどだった。メ
ディアに間違った事実を公言する
ことは、問責されるべき行為だ。
歴代の官房長官でこれだけ報道の
自由を踏みにじった人物はいない


今年日本アカデミー賞を取った映
画「新聞記者」は官邸の暗部を描
いているが、続編のドキュメンタ
リー映画「i新聞記者」では、東

京新聞の望月衣塑子記者の質問を
徹底的に排除するシーンが実写で
描かれ、生々しい。まだ見てない
方には、ぜひにとお勧めする。誰
もが最も首相にしてはならない「
酷薄な人物」と思うだろう。


その経歴も、親しい人を裏切り続
けた背信行為ばかりが浮かび上が
る。暴力団山口組の田岡一雄三代
目組長と深い付き合いがあり、「
横浜のドン」と言われた藤木幸太
郎氏の世話になっていた菅氏は小
此木彦三郎の衆院議員の選挙を手
伝い、やがて小此木氏の恩人を裏
切って市議選挙に当選した。その
後、小此木氏の息子の地盤を強引
に奪い、衆院議員になったことは
地元ではよく知られる。


加藤紘一議員の派閥に一時所属し
ていたが、「加藤の乱」で敗れる
と、反加藤に転じ堀内派に所属す
る変わり身の早さを見せた。その
後、竹中平蔵総務相の下で副総務
相にのし上がった。強権的政治手
法を露わにしたのは、電波行政を
思う通りに動かそうと、NHKの
国際放送の編集権に介入した。


2016年、NHKのクローズア
ップ現代のニュースキャスター、
国谷裕子さんを降板させたのも、
菅長官の下にいた杉田和博官房副
長官が当時の板野祐璽放送総局長
を動かせていたからである。安倍
政権下の言論封殺の中心的役割は
常に電波行政の弱みを知り尽くし
た菅長官が担っていた。


生殺与奪の権利を握られているメ
ディアが菅長官の自民党総裁選の
出馬をはやし立てる光景は滑稽に
さえ見える。今まで以上に政治記
者らが安倍首相以上に「菅首相」
におもねり、隷属してしまう場面
が危惧される。8年近く民主主義
と報道の自由を根幹から崩した「
アベ政治」とその陰で暗躍した菅
氏のこれまでの言動をろくに検証
もせず、次期首相予想にうつつを
抜かす、メディア。その姿は背後
にしのびよる「大蛇」の危険に気
づかない憐れな「カエル」のよう
にさえ見えてしまう。


    【2020・8・31】