次期政権に何を望むか。最近の各
社世論調査の問いに、最も多い答
えは「公正さ」である。腐敗した
安倍政権に人心が倦んでいる表れ
だろう。新型コロナウイルス緊急
対策の「持続化給付金」の巨額中
抜きに続いて、今度は「GOTO
キャンペーン」でも、3000億
円もの委託費が落札業者に支払わ
れる仕組みが発覚した。経産、国
交省の役人の背後に政権の覚え目
出度い「政商」の影が見え始めた
。「モリカケ」でも暗躍した竹中
平蔵が会長を務める「パソナ」と
電通がタッグを組んだ「血税食い
散らかし」法人を白日の下にさら
さなければ、「依怙贔屓」による
政権の国政私物化が止まることは
ない。
「何かすりゃ疑惑出てくる安倍政
権」(5日朝日川柳欄)
こんな句にも大きくうなづかされ
、多くの有権者の怒りはさらに増
幅している。コロナ禍に乗じて血
税を貪る政権と政商らの癒着から
発したスキャンダルは「誰がボロ
儲けしたか」を推察すれば、「犯
人」は浮かび上がる。「持続化給
付金」事業では、769億円で業
務を受託した「サービスデザイン
推進協議会」が約20億円を中抜き
し電通に再委託した。サ協議会は
電通とパソナなどが4年前に設立
した「幽霊(トンネル)会社」で
ある。公金を扱いながら決算公告
も出さず、業務実態のない組織で
、電通、パソナの役員らが名を連
ね、定款作成者に現中小企業庁長
官の前田泰宏氏の署名があったと
東京新聞が報じた。
サ協議会の入ったビルの事務所に
は常勤職員が見当たらず、電話も
通じない。典型的な「幽霊」「ト
ンネル」団体である。経産官僚の
前田氏が直接ペーパー団体設立に
関与したのであれば、立場を利用
した利益誘導など国家公務員法違
反や贈収賄疑惑が浮上する。さら
にサ協議会は過去15回の応札で14
回も落札したといい、談合さえう
かがわせる。
経産省は昨日の国会審議で、今回
入札した2社のうち、サ協議会の
一部しか明らかにせず、もう1社
の入札金額を隠した。提案書も明
らかにせず、当初からサ協議会に
決まっていた疑いが指摘された。
公文書を改ざんしたり隠蔽するの
は、安倍政権の常套手段でもう驚
かないが、このまま看過できるこ
とではない。週明けに、衆院予算
委で審議されるというが、全容解
明は期待しにくい。
ここは検察の出番ではないか。黒
川弘務前東京高検検事長の辞任で
一敗地にまみれた検察の汚名返上
の好機である。もうとっくに河井
克行前法相夫妻逮捕に踏み切って
もおかしくないのに、躊躇してい
たせいで政権の人事介入を許して
きた。守りから攻めへ。政界の腐
敗を摘出するという本来の検察の
使命に目覚めれば、弁護士らの告
発を受けた「モリ・サクラ」に、
「コロナ不正」が加わり、強制捜
査の材料に事欠かない。政権が目
論む17日の国会閉会を待つまでも
ない。国会開会中でも、容疑が固
まったのであれば、河井夫妻逮捕
許諾請求はできるはずだ。「さっ
さとやれ」と言いたくなる。政権
との間合いを測っていたら、また
「林真琴検事総長」実現を阻まれ
るかもしれない。
安倍政権がずっと推し進めてきた
「国家戦略特区」に関与した人物
が今回の一連の「経産スキャンダ
ル」にもつながっている。パソナ
会長として1億円を超える報酬を
受けている竹中平蔵氏は「政商」
の名が付けられるが、パソナが今
回どれだけ利益を得たのか知りた
いところだ。
そして利権の受け皿組織を主導し
た電通は別のトンネル法人「キャ
シュレス推進協議会」を通して約
300億円を再受託して、巨利を
得ていた。今回も同種手口でコロ
ナ禍に乗じて、暴利を得ようとし
てた疑念が募る。第二次補正予算
案ではさらに同じ事業に850億
円も計上されている。また丸投げ
される恐れも日増しに高まる。
【2020・6・5】