支持率上げた画一・過熱報道 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

 


もう逃げ場がなく崖っぷちに立た
された安倍内閣の支持率が上がっ
た。1月のNHK世論調査の支持
から2月は1ポイント上がって44
%になった。国会での「桜を見る
会」の追及で安倍晋三首相の「国
政私物化」が鮮明になったにもか
かわらずである。その原因は新型
肺炎一色のメディアの画一・過熱
報道にある。テレビは朝から深夜
まで「列島総汚染」と勘違いさせ
るように報道、危機感をあおり続
ける。その一方で国会で「桜」を
取り上げ続ける野党の追及を申し
訳程度に伝えるだけだ。権力の不
正を監視する機能を忘れた報道が
安倍政権の延命を手助けしている


安倍首相は新型肺炎騒ぎを最大限
に政治利用している。側近は「緊
急事態条項を設けた緊急事態条項
が必要」とまで口にするほどだ。
その一方で、横浜港に入港したク
ルーズ客船では毎日感染者が2桁
増になっているのに、「全数検査
」や「全員下船」などの政治決断
もできない。まるで事態が悪化す
る方がそれだけ「桜」に目が向か
なくなるのを目論んでいるように
も見える。首相は危機管理をして
いる姿を見せようと、都合の良い
時だけぶら下がり会見に応じてい
る。


武漢で死亡した日本人に対する悔
やみの言葉は、まだ死因が最終的
に確認される以前で、別のよこし
まな意図さえ感じさせた。いつも
のようにぶら下り会見では言いた
いことだけ言って、踵を返し満足
に質問に応じようとしない。テレ
ビ画面は不都合な事実について、
聞かれたくないそんな浅ましい心
情まで映し出していた。



中国以外でこれほど感染者が広が
ったのは、政府が初期対応を誤っ
た結果ではないか。クルーズ客船
の乗客の要望をくみ取らず、乗員
や検疫官まで感染してしまったの
はコロナウィルスに汚染された狭
い船内に閉じ込めたままで、病弱
な乗船客を客室から出させないの
は人権侵害ではないか。国、県な
どどこが責任をもって対応してい
るのか分からない。後手後手に回
っているのは、政府の司令塔が機
能していない表れだ。記者会見す
る厚労省幹部の「検討中」の言葉
の羅列はトップが何も政治決断で
きないからだろう。


「桜」で首相は「私の事務所のこ
となので総務大臣に答弁させます
」と意味不明の言葉でかわそうと
した。自ら判断できないのは、官
僚の作文を何度も何度も読み上げ
るだけなのは、人間の資質に欠け
るからだろう。不都合な事実を突
きつけられると、「レッテル貼り
」「嘘つき」などと逆上してしま
い、自省がきかない。


先日の衆院予算員会で、立憲の小
川淳也議員が「レッテルはすぐ剥
がせられますよ。証拠になる書類
をだせば、すぐはがれます」と言
い返された。安倍首相は反論もで
きず押し黙って困惑する場面があ
った。小川議員の見事な切り返し
は今国会を象徴する場面だったが
、NHKの7時のニュースではい
つものようにカットされていた。
世論調査の「支持できない理由」
で一番多いのが「人柄が信頼でき
ない」が49%と、「政策に期待で
きない」の25%の二倍近いのは視
聴者が首相の人間的欠陥を遅まき
ながらも実感し始めた兆しかもし
れない。



来年度予算案の本格審議が始まっ
た国会では、新型肺炎対策をめぐ
る質疑一色にすべきではない。新
たに権力犯罪の摘発をできなくす
る東京高検検事長の定年延長も浮
上した。この事実上の「指揮権発
動」が「検察官の定年延長はでき
ない」というこれまでの政府答弁
と整合性がないことを追及し、撤
回させなければ、司法の独立性が
脅かされる。民主主義国家の非常
事態に陥る。「桜」で政権存続の
瀬戸際に立たされた安倍首相の大
半の有権者が納得していない答弁
の矛盾点を合わせ、新たな証拠と
証言でさらに「アベ政治」の専横
をストップさせる使命が野党にあ
る。

    
    【2020・2・12】