谷査恵子氏の聴取急げ | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


野党議員の質問をせせら笑って野
次まで飛ばす安倍晋三首相。その
姿からは驕り以上に、追い込まれ
た心の焦りが垣間見える。森友学
園への国有地不当値引きについて
、財務省が契約時の決済文書など
を改ざんしていたと伝えた朝日新
聞のスクープは政権瓦解の道筋を
つけるような強烈なインパクトが
あった。元の文書を同省関係者か
ら入手していないと記事化できな
いはずで、内部告発による二の矢
三の矢さえ予測させる。もしかし
たら、先に期待して書いた「最強
の内部告発者」が現れたのだろう
か。


とりわけ3日付け1面トップの朝
日の記事は詳細である。原本の交
渉経過を書いた調書にあった「特
例的な内容になる」との文言と売
買契約時の決済文書にあった「価
格提示を行う」の文言が国会に提
示した文書で削除されていたとさ
れる。誰かが書き換えたのは明白
で、もはや政権が捜査を理由に逃
げ回ることはできない。


この特報と週明けからの野党の追
及によって、背任容疑の立件は不
可避になった。捜査する大阪地検
の逡巡や及び腰は許されず、捜査
の進展がなければ、司法全体への
不信が一層高まり、法治国家の根
本がさらに揺らぐことになる。既
に物証は握っている特捜部にとっ
ての急務は、安倍昭恵首相夫人関
与を裏付ける証言を得ることだろ
う。それには、何度も書くがキー
パーソンである谷査恵子イタリア
大使館一等書記官からの聴取が最
重要だ。昭恵夫人と籠池夫妻の間
に立って、財務省に身分不相応な
問い合わせを重ねたことは、ファ
ックス文や郵送文書によって明ら
かになっている。財務省文書と昭
恵夫人の指示についての時系列的
説明を求めれば良いだけだ。彼女
が一言「昭恵夫人から頼まれまし
た」と述べたその瞬間に、安倍政
権は倒れる。有権者の目から逃げ
回る佐川宣寿国税庁長官の姿を知
っているだろう。彼女もきっと末
代まで汚名を残したくないと思っ
ているはずで、案外素直に聴取に
応じるのでないか。


谷氏が真実を述べれば、これまで
の行動に「首相夫人付き」の制約
として致し方なかったと同情がわ
き、かえって悔いる告白は賞賛さ
れるかもしれない。彼女には「今
の安逸」より、「将来の心の平穏
」を優先させることを願うばかり
である。


捏造データに基づく法案提出を断
念した安倍政権に捜査中断を求め
「指揮権発動」の体力はもう残っ
ていないと見るべきだろう。検察
首脳に、その身の進退を賭けた政
治的判断が期待される。第一義的
に考えるべきは佐川長官と同じよ
うな「後の悔恨を残す」かどうか
である。


「悪を除くには、本を務む」

     (書経の一節から)


悪を取り除くには、その根本を取
り除かなければならないと説いた
こんな中国の古典を引用するまで
もまでもなく、国権の私物化を重
ねる安倍政権が変わらなければ、
この国に公正な政治を実現させる
道筋は見えてこない。疑惑発覚か
ら1年余が過ぎて、ようやく全容
解明の正念場を迎えた。


    【2018・3・4】


(訂正=前回の末尾で紹介した映

画「ペンタゴン・ペーパーズ」の公

開日は3日でなく30日でした)