議員選ばせ国会審議せぬ国 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

 

もう有権者がどんなに悔やんでも
後戻りできない国になってしまっ
た。「国難突破」を掲げて衆院選
挙で大勝した政府・自民党は、臨
時国会を開かない判断を下したと
いう。国の最高立法機関さえ、意
のままにする「安倍独裁」がさら
に進んでいる。森友・加計疑惑の
審議に蓋する強権姿勢は、この疑
惑が政権崩壊につながる深刻度を
逆に表している。選挙が終わった
とたん、財務省が森友学園に6億
円も過大に国有地を値引きをした
とする会計検査院の試算が明らか
になった。加計学園の新獣医学部
認可判断も保留されたままだ。隠
せば隠すほど疑念は深まる。小池
百合子氏に分断させられた野党は
、今こそ一致して国会審議を強く
迫り、真相をただす責務がある。



通常国会閉会後、野党の臨時国会
開催要求を突っぱねたあげく、冒
頭解散までして国会審議から逃げ
回った安倍首相。11月1日から8
日まで特別国会を開き首相指名を
受ける形だけの審議で予算員会を
拒んでいる。これには野党や世論
の反発が強く、仕方なく閉会中審
査で対応する意向という。外交日
程が立て込んでいると理由だが、
どちらを優先すべきかは明らかだ
。スポットで入る首脳会談は国会
を開かない根拠になりえない。そ
もそも、安倍外交にどんな外交成
果があったというのか。


対米、対ロ外交によって得た成果
はほとんどない。あれほど、力を
注入していたTPP交渉からは米
国が離脱。北方領土交渉では経済
協力を求められるばかりで、一坪
の土地も戻っていない。それどこ
ろか、新たなミサイル発射基地を
島に新設されるなどプーチン大統
領に手玉に取られ「カモ葱」状態
だ。隣国の中国・韓国の両首脳か
ら極右スタンスが警戒され、相互
訪問もできず、関係は冷え込んだ
ままだ。国難突破どころか、隣国
と良好な関係も築けない危うい事
態を招いているのは安倍首相自身
である。


国政に目を戻すと、国会で審議す
べきテーマは山積している。改憲
、消費税アップ、雇用改革……ど
れもその是非について徹底した審
議が求められているはずだ。それ
なのに、来年1月の通常国会まで
このまま予算員会まで開かれない
としたら、異常事態というしかな
い。政権政党は野党の主張に耳を
傾け、合意を得る務めが課せられ
ている。それが議会制民主主義で
だ。それを怠るのは、トップの専
制政治に他ならない。1年間で7
カ月も満足に国会が開かれないの
は、戦後初めての事態で、異様と
いうだけで済まされない。


さらに自民党は国会での質問時間
配分を変え、野党の時間を減らそ
うと画策し始めた。安倍首相も萩
生田光一幹事長代行に見直しを指
示した。これが通ってしまうと、
野党の質問権まで封じてしまわれ
かねない。こうした安倍首相のま
るで「大統領然」とした振る舞い
を誰も諫めることさえできない。
自民党議員の追従ぶりにあきれて
言葉も出ないほどだ。野党といえ
どもその議員を選んだ議員による
質問を封じたり制限するのは、有
権者の口を封じることと同じでは
ないか。


分断された野党は当面、再編以前
に一致して臨時国会開催要求を強
く迫ることが急務だ。とりわけ、
会計検査院による森友学園への過
大値引き試算の詳細を討議する必
要がある。そのためには籠池夫妻
が近畿財務局の国有財産管理担当
官に伝えた安倍昭恵首相夫人の意
向がたったのか、明らかにしなけ
ればならない。改めて昭恵夫人、
国会での偽証の疑い佐川宣寿国税
庁長官、イタリア大使館に異例の
栄転をした谷査恵子・一等書記官
の証人喚問の必要度が高まった。


加計学園新獣医学部についても、
林芳正文科相が大学設置審議会の
認可判断が11月10日に先送りされ
たことを明らかにしたが、その理
由について、「過大な報道」を挙
げた。国民の「知る権利」と情報
公開の原則を理解しない釈明だ。
これまでブラックボックスだった
からこそ、疑惑を深めたのである
。文科省はこれ以上疑念を招かな
いためにも、設置審の審議過程を
明らかにすべきだ。8月は実験計
画が不備だったことを挙げたが、
その後市民団体が設計図を公表、
120億円もの建物建設費が過大
で、実質約80億円しかかからない
疑惑が噴出した。


その指摘が事実なら、約50億円も
の補助金詐取疑惑が強まる。天然
記念物の「のまうま」の実験使用
計画と合わせ、今治市と共に審議
会の審査を明らかにする責務があ
る。このまま認可されれば、今治
市民一世帯当たり約13万円の負担
が求められることになる。


安倍首相の腹心の友や昭恵夫人が
支持した人物が「国家の甘い汁」
を吸おうとした一連の疑獄追及は
、選挙が終わっても、これからが
正念場である。


   【2017・10・29】