本日誕生日を迎えました。
36歳。
数字で見ると、よりパンチ力がありますね。

たくさんの方にお祝いコメントを頂きまして、本当に感謝が止まりません。
まずは産んで育ててくれた両親に、毎年ながら感謝。
出会ってくれた全ての方に感謝。
平野のすべては皆さんで構成されていると、以前にも増して実感することが増えました。

ちょうど十年前の誕生日はテニミュのドリライ初日だったな。
前日に仲間とスタッフさんとで食事しに行ったのだが、おこがましくも絶対お祝いしてもらえると思い込んでいた。
0時に近づく度、ソワソワして「どんなリアクションしようか」などと、しょうもないことを考えていた。
今思い出しても恥ずかしいのだが、なんなら0時の5分前に「お祝いの最終確認もあるだろうから」と、
トイレにまで行った私は、とことん滑稽だ。

しかし0時を超えてもなんのサプライズもない。
その時ですら「焦らしちゃって仕方がないなぁ。ソワソワしてるのを見たいんでしょ、まったく」と、
ポーカーフェイスをしていたものだから、自意識過剰も行きすぎると道化師のようで面白い。

そのまま数刻経ち、解散の運びとなったのだが、その時になって初めて狼狽た。
「あれ?ねえ嘘でしょ?嘘って言って。目の前に誕生日ホヤホヤの人がいますよー」
思ってもこんなこと口に出して言えるはず到底ないので、ポーカーフェイスを通り越して能面のような顔で帰宅した。

翌日、横浜アリーナにてサプライズのお祝いしてもらうという、なんとも贅沢な経験をさせて頂いたのだが、
前日に食事に行ったメンバーは、このサプライズを知っていたので敢えて前日にお祝いしなかったらしい。
何度お祝いされても嬉しいものだと訴えかけたかったが、私のことを考えてくれていたという事実が何よりも嬉しかったので、前日の寂しい気持ちも相まってより幸せな気持ちになったことを昨日のように覚えている。

俳優あるあるで、誕生日の人に演出家や先輩俳優が激烈に怒るというドッキリ形式のサプライズバースデーがある。
私は不思議とそのドッキリにかけられたことがない。
みんなはわかっているのだ、この面倒臭さの塊のような平野のことを。

しかし一度だけ、絶対に面倒な展開になるだろうという予想を打ち破って、私にそのドッキリを仕掛けたチームがある。
なるせゆうせい率いる「ハンサム落語」チーム。

第4幕の時だったかな。
千秋楽を終えて打ち上げの際、一番乗りだった私の隣になるせ氏が座った。
「いやぁ、今回も色々ありましたけど、成功に終わって良かったですね」と私が声を掛けても、
「ああ、うん」と気のない返事に違和感は感じていたが、
誕生日当日じゃないと、サプライズにはなかなか結びつけられないものなのだ。

乾杯の音頭をとる為立ち上がったなるせ氏は、「成功に終わってよかったが、一人だけ全然ダメで台無しにした」
と私に仕掛けてきた。

ご想像の通り、わたくし平野は厄介な人間なのだ。
一発でスイッチが入った私は、
「それはどういうことですか?稽古や本番中ではなく、終わってから言うのは作品創りをする上で怠慢じゃないですか?」
と反論し出した。
客観的に見てみると、本当におぞましいほど面倒な男だな私は。

反撃の手が緩む気配がないと察したなるせさんは、困惑顔でボソッと「、、ハ、ハッピーバースデー」とネタバラシ。

後から聞いた話だと、なるせさんもこういうドッキリ慣れていないし、面倒くささ代表の平野に仕掛けることを、
最後の最後まで渋っていたらしいがみんなに押し切られ、一世一代の大勝負の気持ちで臨んでいたらしい。

緊張していたなるせ氏は段取りを全てすっ飛ばし、いきなり平野をなじり出すという大失敗をしてしまい、みんな内心ハラハラしていたが飛び火を恐れて、そのまま見守るしかなかったと聞いた時、本当に反省した。
こんなにも周りに気を使わせて申し訳ない。

そんな不出来な私の誕生日を祝ってもらえるなんて、今では奇跡のような事だと思っている。
人の善意に慣れてしまわないよう自分を戒めながら「感謝と謙虚」をより一層きちんと心において、
この一年も精一杯頑張ろうと思う。

誕生日は周りに感謝する日。

皆様、改めまして、
「ありがとうございます!!」


2020年5月20日
平野良