人生でふいに訪れる「そんなことある?」という体験ありますか?
私は幾度となく「そんなことある?」に遭遇してきましたが、本日はその内の一つをご紹介します。

十代の頃、横浜から京浜急行(電車)で品川まで行った時の話。

京浜急行は鉄道ファンの中でも人気が高いらしいですね。
真っ赤なボディと、出発する時に鳴る「ピーロピロピー♪」という音階(乗ったことないとよくわからないですよね)、
あと私鉄の中では圧倒的に速い!新幹線くらいスピード出てるんじゃないかってくらい速い。

座席も一風変わっていて、
一般的な横並びで座るスタイルから、新幹線のように進行方向に向かって座るスタイルまであります。

私がその日乗っていたのは、車両の両端だけボックスシートのタイプ。(四人席)
私は進行方向向きの窓側の席に座っていた。

10分も揺られているとウトウトしだし、やがて眠りに落ちました。なぜ電車はあんなに眠くなるんだ。
家では寝つきが悪くて困ってる時すらあるのに、電車という他人に囲まれた本来警戒すべき空間なのに、すっごく眠たくなる。
一般的には揺れが眠りを誘発するっていいますよね。お母さんのお腹の中にいた時の胎動の揺れと似てるからって。
だが私は、電車には催眠術師が潜んでいると思ってる。あの睡魔に抗えない感じを説明するのはこれしかないと思う。

とにかく、その日も深い眠りについてしまったわけですが、
「はっ!」!と目覚めると、あたりが薄暗くなっていて乗客は一人もいなくなっていました。
まるで白昼夢を見ているようで、もしかしたらあの世なのかと物凄く怖かった。

すると背後から足音が聞こえてきたんです。
ボックス席なので立ち上がらないと背後が確認できないんですが、怖くてそんなこと到底できず、身を潜めていました。

どんどん足音が近づいてくる。
恐怖のピークを迎えました。

その足音が真横でピタッと止まったので、そちらを見てみるとそこには、、、

車掌さんがいました。

お互い「うわっ!!」っと驚き合うことになりました。
ここがどこなのか聞くと、なんと品川の車庫とのこと。

そう、私は寝過ごして電車の車庫まで行ってしまったのです。
終点では大体、車掌さんが全乗客下りたか確認するのですが、運悪く見落とされていたようです。

恐怖で顔を真っ白にした、本来いるはずのない男の子が乗っていたのだから、
車掌さんのほうがむしろ怖かっただろうと思う。

10分後に折り返し出発するので待つよう言われ、薄暗い中「逆に貴重な経験だ」と考えながら車庫の様子を観察していました。

そして電車が動き出し、今度は始発になる品川に着いて無事降りれました
始発を待っていた人たちからの、「え?始発なのになんで一人だけ乗ってるの?」という視線をバンバン感じましたが、
肩で風を切りながら悠然とその場を去りましたとさ。

「そんなことある?」シリーズ第一弾でした。

ありがとうございました。