金八先生のオーディション話をしたので、撮影当時のことも振り返ってみようと思う。

金八フリークの方って熱烈に好きなパターンが多い印象。
芸人さんとか男性の方も、金八好き多いですよね。

だからその方々に怒られてしまうかもしれませんが、撮影当時の記憶ってあまり覚えていないんです。

言い訳じゃないですですけど、中学3年生の半年足らずを鮮明に記憶している人がいるだろうか。
再放送とか久々に見ると、初見かってほど記憶にない場面も。

現場ではよく監督に「芝居をしようとするな!そのままただそこに居ろ!」って怒られていました。
だから本当の学校に通っている感覚だったんですよね。

所々にあるテストのシーンは、本当に中3のテスト問題が出されて解いていました。
しかも順位も後日張り出される徹底ぶり。
私はリアル中学三年生で、高校受験の勉強をしていたので逆にありがたかったが。

その他にも、リハーサルをして本番を撮る間に、カメラや音響のスタッフワークの確認時間があるんですが、
先生(武田鉄矢さん)が本番とは違う国語の授業をしてくれることもありました。

私にとって武田さんは、いつまでも「先生」なのだ。
当時は、生でお芝居を見て「すげーなー」ってバカみたいに見惚れていたが、
今思い返すと、途方もない程のお芝居だったなと思う。
技術はもちろんハートが凄いし、カメラ割りまですべて計算されつくした繊細なお芝居。
神の所業だ。

色濃く記憶に残っているのはやっぱり、一番初めのオープニングを撮った荒川の土手と、卒業シーンだな。

夜の2時くらいからメイク等準備をして、4時くらいから荒川土手で朝日を待ちました。
あの朝日は、一生忘れられないほど美しかったし優しかったし力強かった。
その後、先生と初対面となるのだが体が硬直するほど緊張した。

そうそう、
生徒たちは撮影に入る前から稽古などをしていたのですが、
本当の学校のようにオリエンテーションをおこなったりもしました。
たしか相模湖ピクニックランドだったかな。
みんなで体動かすゲームをしたり、飯盒炊飯をしたり中々本格的だった。

行きのバスではどこか余所余所しく、なんなら少しライバル意識のようなものまであったメンバーが、
帰りのバスではうるさいと叱られるほどになった。

撮影中もよく叱られたなぁ、、、
騒がしかったり、本番中なのにウトウト居眠りしちゃったりして、(それぐらい本当の学校に通っているみたいだったのだ)
みんなでスタジオの外に立たされたこともある。

あと、移動中や撮影の合間に私は受験勉強をしていたのですが、
健次郎(風間さん)はじめ年上のメンバーが、勉強を教えてくれた。

スタジオに泊まり込みでの撮影は、林間学校の様で楽しかった。
みんなで集まって怖い話をしたり、それで泣き出しちゃう女子がいたりで、ほんとにただの学校。

私が出演したパート5から「ソーラン節」という踊り?をすることになったのだが、
一番初めに披露する文化祭のシーンでは、私はギターを弾くことになりみんなと踊れなかった。
プロフィールに書いた「特技・ギター」をこの時ほど呪ったことはない。
最終回のラストシーン、みんなと踊れた時は心底ホッとしたというか嬉しかった。

撮影の中空き(待ち時間が数時間ある時)で、カラオケに行ったりラーメンを食べに行ったのだが、
私は人生初カラオケも、家族以外でのラーメンも金八メンバーに捧げることとなった。
あの時食べた「じゃんがらラーメン」から私のラーメン好きは始まったと思っている。

ここまで読んでおわかりの通り、
仕事をしているというより「少し特別な学生生活」という認識のほうが当時は強かった。
なので卒業のシーンは、本当に通っていた学校の卒業式よりも泣いた。

先生が教室で一人一人に言葉をかけてくれるシーンがあったのですが、撮影後も30分以上みんなで泣いた。
前室(スタジオに入る前にある部屋)で代わる代わる握手したり抱き合ったりしながら、それこそ涙枯れるまで泣いた。
人ってほぼ水分で出来ているというが、それを証明するかの如く涙を流し続けた。
あそこまで持久力がある涙はあの時以来ない。

余談だが、次のシリーズが始まるとOBとして撮影現場にみんなで顔を出す風習がありました。
辻ちゃん(辻本祐樹さん)が私と同じ席だったのだが、
ものすごくいい役を頂いていて、嫉妬してスタッフに文句言いに行きました。(なんとも器の小さいことやら)

その辻ちゃんと10年以上を隔てて、一緒にお芝居をしているなんて感慨深い。
だから辻ちゃんは「共演者」というより「戦友」という感覚に近い。

また一緒にお仕事が出来ますように。

思い出し思い出し書いていたら何だかチグハグな文章になってしまった。
まだまだ思い出はあるのだろうが、思い出したタイミングで書くことにします。

読みづらかったでしょうが最後までありがとうございました。