戦国鍋で知ってくれた方多いですね。やはりとてつもない番組だ。
しかも今再放送中とのことで、見たことない方は是非。

さて皆さんは、極限までいったが故に吹っ切れた事はおありだろうか?
私は紛れもなく経験者だ。

金八先生のオーディションを受けた時の話である。

以前話したように、自分を偽らなくなった頃からオーディションに受かることが増えていったわけですが、
それでも落ちる時はもちろん落ちるし、なんなら負け越しのほうが多かった。
「これ受かりたい!やってみたい!」と強く願うオーディションにはことごとく落ちた。
きっと無意識のうちに邪な気持ちが出て、普段の自分とは違う人間になっていたのだろう。

そんな時に声がかかった金八先生のオーディション。
こんな長寿でモンスターな番組出たくないわけない。
「出たい」を100倍濃くして、100倍大きくした感情に支配されるわけです。
しかし今までの経験上、その気持ちを持ってしまうとよくない結果になるようだと学んでいた私は、
「まぁ、受かっても受からなくてもどっちでもいいや。」と無理に思い込もうとしてました。

「受かりたい」という気持ちは無意識に、どんどん胸の中に湧き上がってしまうので、
その度「どっちでもいい」と呪文のように唱える日々でした。

そしてオーディション当日、
この「受かりたい」、「どっちでもいい」問答を繰り返していた平野青年はパンクする。
会場に向かうバスの中で戻してしまったのだ。(そう、バスでゲロした話はこのオーディションの時なのだ)

悩みすぎたり、考えすぎたりすると気持ちが悪くなりませんか?
その「境地の極みへと辿り着いた日」です。(タイトル付けも欠かさない)

不幸中の幸いは、座席で膝の上にバッグを置いていたんですが、これがスポーツバッグだったこと。
運動部の子がよく使っている、エナメル皮の長方形の肩掛けバッグ。

だから戻したものをぶちまけず、バッグの中に浸透することもなく、綺麗に受け止めてくれた。(いや汚いのだが)
周りのおばさまから奇異の目で見られ、次のバス停で顔真っ赤っかにして、そそくさと、でも汚物をこぼさない様慎重に降りた。

幸い近くに公園があったので、水道でバッグを洗い、口をゆすぐことが出来た。
オーディション場所は自然に囲まれたスタジオだったので、周りに何もない。お店もなければタクシーも中々通らない。
バスも30分くらい待たないと来なかったので、歩くことにした。
でも初めて行く場所なので、時間に間に合うか不安になり途中からは走った。

到着した時には汗びしょびしょ。そのおかげで間に合ったのだが。

その時のオーディションは5人一組ずつ行われていたのですが、同じ組にいた同期の子が、
「はぁ、、、終わった」と、始まってもないのに嘆きだした。
ギリギリに着いた私は状況を把握していなかったので理由を聞いた。

その頃放送していた、男性アイドルグループがやっていたバラエティ番組でこんな企画があった。
「街のヤンキーを訓練して金八先生のオーディションに受からせる」
最終的に3人のヤンキーがオーディションを受けることになったのだが、
どうやら私たちの組にその中の一人がいるらしかった。

同期の仲間は「どうせ番組を盛り上げるために、そのヤンキーを使うに決まってる。審査員もその人しか見ないよ」と悲観的だった。

実際、私たちの番になり部屋へ入ると、5人横並びの椅子で、ヤンキーの子が当然のように真ん中。
しかもその子専用のカメラまでセンターに設置されていた。

だがその時の私は動揺せずにこう思っていた。

「こちとらゲロ吐いて奇異の目に晒され、汗まみれでここまで辿り着いたのだ。
失うものなんて何もない。
いつも通り、普段のありのままを。」

ラジオで学んだ通り、その時感じている事、最近思ったことなどを話したと思う。(何せ20年以上前なので記憶が薄い)
たしか、「最近勉強に身が入らず、窓の外を見ながら授業中、詩を作ってしまいます」的なことを話した。
するとプロデューサーが、「どんなものか披露して」と答えてくれたので、前日に作っていた詩を披露した。

内容は本当に拙く恥ずかしいので割愛させてほしい。
と言ってもそもそもうる覚えなのだが。
ザックリ言うと、散る桜と好きな子への想いを謳った詩でしたね。。。(一世一代のオーディションで何をかましているのやら)

そうして幕を閉じたオーディション。

極限まで行ったおかげで吹っ切れて、普段通りの自分を出せたのだと思う。
ゲロ吐いていなかったら受かっていなかっただろう。(信じるか信じないかはあなた次第)

撮影が始まったころ、原作の小山内先生が合格理由を教えてくれた。
「なんか、考えてることと、話すテンポが人とズレてて面白かったから」

え?
いつも通りの私は、やはり人とズレているのだろうか。。

自分では普通ど真ん中な感性をしていると思っているのだが。


そんな話。


最後までありがとうございました。