ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2-大英帝国の醜聞ー
キービジュアルが解禁されましたね。

それと同時に『モンテクリスト伯』延期。。

一喜一憂。

なので今日は役者として、よちよち歩きを始めた頃でも振り返ってみようと思う。

私は中学の時に劇団に入り、お芝居やダンス、日舞、バレエと様々なレッスンに打ち込んでいた。
毎回怒られるし、うまくできない自分にイライラするし順風満帆とは縁遠いスタートだった。
そのうえ半年たっても仕事がない。
同期はエキストラや再現VTRなどに出演し、着々と経験を重ねていてオーディションも週に2.3個受けていた。

自分には才能がこれっぽっちもないのだろうかと落ち込む日々でした。
それでも夢を諦めるには早すぎると自ら鼓舞して毎レッスン全力で取り組んでいた。

そのまま仕事が一つも来ないまま、まもなく1年が経とうとしていた時、劇団内で舞台ピノキオをやるので経験してみないかと声がかかりました。
団長役で、台詞はわずか二言でしたが嬉しくてたまらなかったなぁ。
台詞がないところでも工夫して、役をアピールできないか試行錯誤して臨んでた。

無事公演を終え(と言っても一日に二公演だけでしたが)、
数日たった時、劇団内の事務室から呼び出しがかかった。(事務室は各マネージャー陣や劇団の運営の方々がいるところ)
今まで呼び出しなんて一度もないので、もしかしたら「才能ないから辞めなさい」とでも言われるのではと戦々恐々としながら事務室の扉を開けた。
一人のマネージャーが「こっちこっち」と手招きし、近づく私にいきなり一言、
「本当にお芝居で仕事する気ないの?」と。
意味が分からなかった。
その質問の意図を探ってしまうがあまり放心状態の私に、マネージャーは再度同じ質問をぶつけてきた。

私は正直な気持ちをぶつけ返した。
「めちゃめちゃあります!仕事したいです!!」

その後のマネージャーのリアクションが不可解なものだった。
「、、、はぁ、、やっぱりな、、」

私はかつてない程の「?」を生み出した。 
脳内「?」で埋め尽くした表情をしていた私に、丁寧に説明してくれた。

入団するときのアンケートで、
仕事をすることを目的としてレッスンを受けるのか、趣味の一環としてレッスンを受けるのかがあって、
勿論私は前者にチェックをして提出したのだが、どうやら事務の処理ミスで後者として登録してあったとのことだった。
仕事やオーディションがひとつも来なかったのもこれが原因だと聞き、
私は涙を流しそうなほど安堵した。自分の才能云々ではなかったんだと。

そのマネージャーは先日の公演を見てくれて、「あの子、今までどんな仕事しているんだろう」と調べた結果、
この手配ミスを発見したらしい。

新たに登録をし直してくれ、オーディションやエキストラの仕事を率先して入れてくれた。
何を隠そう、このマネージャーが「金八先生」に受かった時の担当なのです。
芸能の道を示してくれた、恩師であり、父のように慕った方でした。
劇団を離れるときも、何度も相談に乗ってくれ、背中を押してくれた。
彼がいなければ、確実に役者にはなっていなかったと思う。
いくら感謝してもしきれない。

このようにして、はじめの一歩を踏み出した平野青年ですが、ここからも山あり谷ありでした。

つづく。


see you tomorrow.

thank you.



いきなり初めての日またぎ。