皆さんは厄を信じますか?
変な質問だが厄年とかで気を付けている事とかあるのかなと。
意外と気にしない人のほうが多そうな印象ですが。

私には「全てを失った日」という過去がある。
「奇跡の一日」同様、私は何かと人生にタイトルをつける癖があるようだ。

その年は年始から、インフルに罹って治ったと思えば、胃腸炎になり、治ると麻疹に罹るという病気ラッシュで幕を開けた。
麻疹の時は人生初入院、しかも誕生日。
個室のベットの中で人知れず涙を流したものだ。

そして普段そんなに失くし物をしたり、忘れ物をするタイプの人間ではないと自負していたのだが、
その年は何故か失くし物が多かった。
初めは替えの利く小物だったりしたのだが、徐々に思い出の詰まったものや、購入時ワクワクしたほどの貴重品が失くなっていった。
注意力が散漫していたのだろうか。
それは偶然で、必然ではないのだろうか。

失くした時は「何やってんだ自分!もうバカたれ!」と自ら叱責するものの、そこまで大事に考えていなかった。
しかし迎えた年末。
今の事務所に所属はしていたが、まだまだ仕事がない私は、社会人の延長的に派遣社員として働いていました。
その会社の忘年会の帰り道、酔いを醒ますために公園のベンチで休んでいた時の事。
気付いた時には後の祭り、目を離した数分で鞄ごと置き引きにあっていた。

おまけにその日は何故だか大切なものを全部鞄に入れていた。
印鑑、通帳、鍵、携帯電話、眼鏡、ポーチ、筆記用具、、、、
不幸中の幸いで財布だけはポッケに入っていたが、それ以外はすべて失った。

警察に駆け込んだが、飲酒していたこともあってまともに取り合ってくれない。
盗難届を出したいと提案したが、「とりあえず、紛失届でも書いて」と。

己の不注意と運命を呪った。

この「すべてを失った日」を経て、今年はやはり何かがおかしいと考えた。
出した答えは、「前厄だからだ」でした。

今まで厄年とか年男とか一切意識したことありませんでしたが、
ここまで不運が続くと何かしら原因を見出さないと先へ進めない。
そんな時ありませんか?

前厄でここまでの不運なら本厄はどうなってしまうのかと震えた。
地元の友達に「俺は来年死んでしまうかもしれない。そしたら俺の自伝を出版してくれ」と、今思えばどうかしてるお願いをしていた。
まともに取り合わない友人に(まあ普通なら取り合わない)、
しつこく食い下がり「もうわかったから、その話しないでくれる?」と、、少々不安が残る小さい約束を取り付け安堵していた。

厄除けで評判のお寺を探し、正しい初詣の所作や服装を調べ迎えた元日。
スーツで正装し、朝一番の電車でお寺へ出陣。
ネットで得た知識を引っ提げて、今までやったことないくらい慎重にお参りしました。

「役者は役が逃げてしまうので、厄除けをしてはならない」
なんてことをよく聞きますが、知ったことではない。こちとら命がかかっているのだ。
そんなことを考えながらお寺に向かった記憶がある。
相当切羽詰まってたんですね。

本厄。
どうなったかというと、舞台「ラフカット」に合格し出演させていただいたすぐ後に「テニスの王子様」に受かることになる。
私の中で「第二の芸能生活が始まった年」と名付ける年となったのです。
その後の人生はウィキペディアで皆さんが書いてくれているとおり。

本厄に良いことが起こると厄を長く引きずるという話もあったので、ずっと怯えてましたが、
今振り返ってみると、素敵なご縁にたくさん恵まれる年月でした。

「すべてを失った日」の翌年は「第二の芸能生活が始まった年」になったわけですが、
まるで‘満を持して矢を放つ,じゃないですけど、ひっぱってひっぱってピンピンに張った弓から矢が放たれた感じがする。
厄から役になったとも言える。

あれから12年。
そう今年私は、年男なのです。

厄年ではありませんが、時代は繰り返すっていいますからね。
今年、今の時点では相当失っている。
今後また厄から役に矢が放たれることを願って、今日も私は育てている豆苗を眺めながらベランダでブログを書いている。

最後までありがとうございました。