さて今日は、コメントにもあった嫌いな食べ物の話でもしていこうと思う。

昔から好き嫌いはあまりないほうでしたが、それでも食べられないものも、というか好きではないものも、まあまあありました。
中学に上がったころだろうか、友人の一人に、よくあるこんな常套句を浴びせられた。
「えー、これ食べれないの?人生損してる~」
って。

誰でもこういった人生損してる談議をかまし合ったことはあるだろう。
大体は、「なんでそんなこと、あなたに言われなければならないんだ!」と反発心を燃やすのではなかろうか。

ただ私の場合、「たしかに!」と納得してしまったんです。
この世に溢れる食材、すなわち命の火を灯し続けてくれる喜びの数々を、こちらから拒んでしまうなんて確かにもったいない。
食べられないものがあるのは損だ、そう結論付けました。

そこから自分ルールを設けました。
味覚は日々変わっていくものだと聞く、ならば一年に一度は苦手なものを食べてみよう、と。

その甲斐あってほとんど好き嫌いはなくなりました。
鯛、ゴーヤ、ナス、きくらげ、もずく、煮つけ系、セロリ、アンチョビ、ジンギスカン、、、etc
好きじゃなかったもの、書き出してみると意外と多かった。
でも今では大好物の皆さまです。

二十代後半で平野ファームに仲間入りしたメンバーも少なくありません。
レバーやもつ鍋、いわゆる内蔵系のほとんども20代後半にメンバー入りです。

だがしかし、未だにどうしても相容れぬ強敵がいるんです。
そいつの名は、、、『しいたけぇ』←エコーあるイメージ

しいたけ、シイタケ、椎茸。

こやつだけは物心ついたころから今日に至るまで本当に分かり合えない。
食感もだし臭いも。
好きな方ごめんなさい。でもダメなんです。

キノコ類はマツタケも、エリンギも、しめじ・えのき・なめこ・マッシュルームに至るまですべて好物です。
もともと好きじゃなかったキクラゲですら友好関係を築けたのに。
どうして奴とは手と手を取り合えないのだろう。

もしかしたら前世に関係することなのかもしれない。
全く関係ないですが、しいたけ占いは大好きで、しょっちゅう拝読しております。

子供の時に親が、克服させようとして家の庭で椎茸の栽培をしていたのも一役買っていそうだ。
お腹ペコペコで、習い事からすっ飛んで帰ってきたのに敷地に入った瞬間、
あいつの香りが容赦なく襲い掛かってきて、よく辟易させられていた。

今ではそれも親からの多大なる愛情の一つだと、しっかりと受け止め感謝しています。
しかしそのことで、嫌いに拍車がかかったわけじゃないと言い切れないのも事実。

高校二年の冬。芸能から離れバイトをしてみようと、中華料理のデリバリースタッフをしていたことがある。
その日は土砂降りで、いつもより注文が多く、一回の配達で3か所くらい回らなければならないのは当たり前で、
戻ればすぐに次の配達といった、まさに目が回るほどの忙しさだった。
それでも止まない雨はないもので(実際の雨は朝まで土砂降りでしたが)、ようやく最後の配達を終えお店に戻りました。

ドアを開けて中に入ると店長が「今日は本当にご苦労様」と言って温かいスープを作ってくれていました。
冷え切った体には堪らなくしみる計らいに、まず心が温まった。
よそっていただいて、さあ食らってやる!と腹をすかせた猛獣よろしくがっつこうとした瞬間、
時が止まった。


奴がいた。
いや、いたなんてかわいいもんじゃない。奴の住処だ。

そのスープは椎茸と卵のスープだったのです。

刹那、辞退するか逡巡しましたが、店長の温かい心意気を踏みにじるわけにはいかないと、
意を決して胃の中へ掻き込んだ。

するとどうだろう。
全然食べられる。むしろ美味しい。おかわりまでかます節操のなさ。

「そうか、椎茸を克服するためには人が人を思いやる優しさ、そう、愛が必要だったんだ」と噛み締めた。

数日後、しいたけと再び相まみえる機会が訪れた。
得意顔で意気揚々と食べてみて愕然としたことは言うまでもない。

あのスープを食べた日のことを私は、
『奇跡の一日』と呼んでいる。


最後までありがとうございました。