どーも☆どーも 平野良です。

この挨拶を知っているあなた。平野検定一級ですね。
はるか昔、太古に私がブログで使っていた、今や少しイタイ挨拶です。
なぜかふと思い出したからリサイクルしてみました。

今日は昔から折あるごとにオススメしてきた小説。
ケン・グリムウッドの『リプレイ』の話をしたいと思います。

好きな本はたくさんありますが、心にいつも置いてある特別な、数少ない物語の一つです。
古い作品だから知らない方もいると思いますので、まずあらすじの引用をご覧ください。

『経済的に成功していないラジオ局ディレクターのジョフ・ウィストンは、43歳で心臓発作による突然死を迎える。
しかし、次に目を覚ますと18歳の時点に遡っており、新しく人生をやり直すことになる。
ジェフは「未来の記憶」を存分に利用し、やり直しの人生を謳歌するが、結局は同じ年の同じ時刻に死を迎え、人生のやり直しを強制再開させられる。
この繰り返すリプレイの中で自暴自棄と諦観に囚われるが、同じ立場の女性と巡り合い、ジェフは改めて人生に向かい合うようになる。
しかし、やがてリプレイ期間が次第に短くなり、主人公らは究極の絶対死(リプレイの終了)が訪れることを知る。』

いわゆるループものです。ただループものの金字塔だと私は思っている。なにせ1987年にアメリカで出版された作品。
この作品はありとあらゆる宝物が詰まっている。

人生をもう一度やり直したいと一度は誰でも考えて、妄想して、結果ため息とともに先へ進むという経験あるんじゃないでしょうか。
もし一度も考えたことがないのなら、私は全力で叫ぶ。「うらやましい!!」と。

サラリーマン時代、毎日同じスーツを着て(正確には似たような3着を着まわしていたのだが)、同じ時間、同じ車両に揺られ出社し、
帰りの車窓に映った、自分の疲労した顔にギョッとする日々を送っていました。

そして、毎日こう思っていた。
「毎日同じ一日の繰り返し」 「芸能から離れてなかったらどんな人生だったんだろう」 「戻ってやり直したい」

同じ一日なんてない、それは頭ではわかってる。わかっちゃいるけど、そう思ってしまう気持ちは偽れない。
そんな時、私の考えを変えてくれたのがこの『リプレイ』です。変えてくれたというより深めてくれたと言ったほうが近いのかな。

翻訳した海外の小説を読みなれていなくて序盤は中々入り込めなかったものの、最初にジェフがループしたあたりからは一気読みでした。
一気読みといっても、もし自分だったらって、ちょくちょく妄想しながらだから、すぐ読み終わったわけではありませんが。

人の欲望も、落胆も、絶望も、愛も、愛とは何か、人の本質、知らぬが仏だがやはり知ったほうがいいのかも。とか。
たくさんの事を教えてくれた。教えるだけじゃなく実感させてくれた本です。

何度も何度もループを繰り返す中で、どんどん人生が「軽く」なっていく。
どんなに豊かにして続きの人生を歩みたくとも、またループしてしまうのだから投げやりにもなるだろう。

ただ同じ立場の女性と巡り合うことで、また人生にハリが出てくるんですが、これまた新たな仕掛けが発動するわけです。もう胸がぎゅーって。
いやぁだめだ、全部言ってしまいそうだ。むしろ言ってしまいたい!
けれど未読の方に同じ体験を体感してもらいたいから我慢。

読み終わった後、たしか電車内だった気がする、いや自分の部屋だったか、、
とにかく本から顔上げて、何気ない、いつもの風景を見渡した時、本当にすべてが貴重で大切で奇跡だ。って思ったんです。
読み終わったときの場所も覚えてないくせにと思われるかもしれないですけど、その時感じた感情はしっかりと残ってるんです。
人生を「軽く」感じていた反動でものすごく「重く」なりました。それこそ読む前より。

そりゃ今だって、嫌な出来事はあるし、落ち込むことだってある。大声で叫びたくなる時もある。
でもそういう時、あの時感じた感情を思い出すと、少しだけ肩の力を抜こうと思える。
この負の感情すら、今生み出された大切なものなんだって。
一秒一秒、一瞬一瞬を進めているからこの気持ちになったんだ、なれたんだって。

もちろん私は聖人君子じゃありませんから、それだけじゃ収まらない時だってあります。
それでも今、生きていられることを幸せと、大切にしようと思える。
それが『リプレイ』との出会いの真価だと私は思います。

是非この機会に。

あと、本日はチェーザレ初日の予定でした。
リプレイして、もう一度ジョバンニとして生きたい。
一刻も早く収束しますように今夜も祈ります。


今日も最後までありがとうございました。