税理士のヒラリーです。


消費税率改正の経過措置の適用

消費税法の改正により消費税率が8%に上がり、施行日後8%の消費税が適用されることとなっています。

しかし、契約が指定日(25/9/30)前に行われ、施行日(26/4/1)以後に課税資産の譲渡等が行われた場合、5%を適用することとなっています。

工事の請負がこれに該当するものと思われます。

今回検討しているのは、不動産開発の準備段階である土地の取り纏め(地権者同意、借地権設定、賃貸借契約締結)、開発許可等も経過措置適用できるかです。

下記、問17にあるように、指定日前259月末までに契約締結されており、「これらに類する一定の契約に基づき」施行日以後に課税資産の譲渡等が行われた場合に旧税率5%が適用されます。

これらの一定の契約とは、「調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含みます。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち、当該契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの」とされています。

土地の取り纏めや開発許可等は、仕事の完成に長期間要する可能性があり、目的物の引渡しが部分的ではありますが一括して行われ、仕事の内容につき相手方の注文が付されているものに該当すると思われます。

よって、経過措置を適用し、5%の消費税で計算してもよいものと考えられます。

その際には、請求書等に、経過措置の適用を受けたものであることを表示する必要があります。

17

事業者が、平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した工事の請負に係る契約、製造の請負に係る契約及びこれらに類する一定の契約に基づき、施行日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合には、当該課税資産の譲渡等(指定日以後に当該契約に係る対価の額が増額された場合には、当該増額される前の対価の額に相当する部分に限ります。)については、旧税率が適用されます(改正法附則5③)。

なお、事業者が、この経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等を行った場合には、その相手方に対して当該課税資産の譲渡等がこの経過措置の適用を受けたものであることを書面で通知することとされています(改正法附則5⑧)。

18

改正法附則第5条第3項《工事の請負等に関する税率等の経過措置》に規定する経過措置の適用対象となる契約は、平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した次の契約です(改正法附則5③)。

③ これらに類する契約

測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含みます。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち、当該契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているものをいいます(改正令附則4⑤)。

() 「仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの」には、建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものも含まれます。