税理士のヒラリーです。
今日は日本で外国法人がたまたま行った役務提供取引の日本での課税について検討してみました。
外国法人は香港の法人です。
外国法人の役務提供取引の課税
国内源泉所得は、国内で課税されるよう、所得税法161条2号に規定されている。
二
国内において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価
政令で定める事業は、下記のものである。
一 映画若しくは演劇の俳優、音楽家その他の芸能人又は職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業
二 弁護士、公認会計士、建築士その他の自由職業者の役務の提供を主たる内容とする事業
三 科学技術、経営管理その他の分野に関する専門的知識又は特別の技能を有する者の当該知識又は技能を活用して行なう役務の提供を主たる内容とする事業(機械設備の販売その他事業を行なう者の主たる業務に附随して行なわれる場合における当該事業及び法第百六十四条第一項第二号
(非居住者に対する課税の方法)又は法人税法第百四十一条第二号
(外国法人に係る法人税の課税標準)に規定する建設、すえ付け、組立てその他の作業の指揮監督の役務の提供を主たる内容とする事業を除く。)
外国法人に対して、そもそもPEを有しないと課税されないのであるが、141条に外国法人に対して課税される課税所得の範囲が規定されている。
法人税法141条4号ロ 第百三十八条第二号及び第三号に掲げる国内源泉所得
法人税法138条二 国内において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う法人が受ける当該人的役務の提供に係る対価
法人税法施行令179条に規定されているが、上記所得税法施行令の規定と同様の範囲である。
抵当権抹消の人的役務が、人的役務の提供を主たる内容とする事業で、法人税法施行令179条に該当するかどうかが問題となる。
スポットで発生した国内取引が、国内において人的役務の提供を主たるないとする事業には該当しないと考えるのが通常であり、抵当権抹消の人的役務の提供は専門的知識等を活用して行なう役務の提供と異なることから、これらに該当せず、国内課税は受けないことと思われる。
また、租税条約21条においても日本の恒久的施設に関連して生じた所得でない限り、香港でのみ課税されることになっている。