東京芸術劇場プレイハウスで上演中、
『リチャード3世』を観てきました。
ルーマニアの演出家が手掛けた今作。
元々シェイクスピアの時代、全ての役を男性が演じていましたが、
この作品もおひとりだけ女性であとは皆男性。
……そんな切り口があったのか!と気付かされる部分や解釈、
プログラムを読んで、"周囲を騙す為の策略として"あの姿勢や体つきを"演じているというのも衝撃でした。
だからある時は襦袢をつけたり、ヒールを履いて杖をついたり、
かと思ったら普通に歩き出したり…。
毎回変わるのはその為だったのか!
道化を演じているかと思ったら、次の瞬間には冷酷に手を下す。
肩についたゴミを払うようにいとも簡単に。
その用意周到さと心が動かない様はとても異様で、瞬時に人間を二分し、静かに見届ける。
その精神状態の表現の奥深さに驚きました。
この世界で何が一番醜悪で滑稽なのか。
リチャード3世にしか伝えられないメッセージが散りばめられていました。
8月ロンドンに行った際、
ロンドン塔の展示パネルで見た、皇太子エドワードとヨーク公リチャードの話がそのまま出てきました。
後味が悪かったから凄くよく覚えていて…。
この後『レディ・ベス』の時代に繋がっていくので、観ていて他人事とは思えなくて…。
エリザベス役の植本純米さんにご挨拶させていただいた際、「ひ孫に会えた!」と言ってくださったのですが、
ヘンリー8世が孫に当たるので、エリザベス1世はひ孫……。
暗くて業の深いイングランド史に、気が遠くなります。
どこまでも続く高い壁に囲まれた密室の空間。
牢や手術室を思わせる重苦しい空気のなか、
錯乱の音楽、耳鳴りのような音、
そしてチェーンソーの音が……頭の中に残って、
あそこから抜け出せないんじゃないかと思わせます。
まさに出口がない。
今日のレディ・ベスの昼公演は、この重みを感じて頑張ろうと思います。
昨夜インスタを更新したのと同じタイミングでブログをUPしようとしたのですが、
作品柄NGワードが多くて更新に制限がかかってしまって。
色々と言葉を変えているので、上手く伝わらないかもしれません。
"観て"感じていただくのが一番かと…。