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結婚してから、コンスタンツェの今まで見えていなかった部分が出てきます。
一体何がコンスタンツェをそうさせたのか。
その理由がこの曲で明らかになります。


ダンスパーティーから帰ってきた彼女が夫に語りかけるも、家はもぬけの殻。
夫に対して見せていた良き妻の仮面はそこから剥がれ落ちていき、
自身の心情をボロボロ吐き出していきます。


この曲で大切なのは切り替え。
ふと思いついたことや愚痴や文句を次々に吐き出してそれが止められない。
切迫していることからコンスタンツェ自身も触れたら割れて散ってしまいそうなガラスのような儚さを持っているという解釈で演じていました。

ギリギリのラインで踏ん張っているのが燃え上がって爆発する時のパワーは計り知れないもののはずです。

でもどこか冷静な部分もあり、最後はやはり「インスピレーション 与えなくては……」と曲の頭の考えに戻る。


道を踏み外していく家族の呪縛から逃れ、やっと自分の幸せを手に入れられると思ったのに……。
自分を愛し導いてくれるはずの夫は自分の才能にしか興味がない。

こんなに愛しているのに。
私のことは……?寂しい。

家族はお金を巻き上げていく。
自分にはどうすることもできない。

答えが出せずにずっとループしている。

でも良き妻でいなければ。

私が彼にしてあげられることはまだきっと残っているはず。

だから、お願いだから私を置いてずっと先に行ってしまわないで。

そして何より、
愛してる。
愛していれば分かり合えると誓いあったはず。
だから愛して。


と言う想いが集約されていると思いました。


ダンスは行きたくて行くんじゃなく、
一心不乱に何も考えず踊り、踊っている相手を彼だと思えば「その時だけ幸せになれる」。

だから「燃えて 乗って 夢に溶ける」という刹那的な感情に繋がるのだと思っていました。

実際関連書物を読んでみると、二人はかなりラブラブだったようなので、
この作品での解釈ということで。


曲の冒頭から、歌詞に合わせて全て動きが決められています。
決められたものを自分なりに解釈し自由に表現して良いと、振付の清実先生に言っていただいていました。

ベッドにつく時は毎朝日が昇ってからだと太陽を見上げたり。
ピアノを芸術家の夫、羽ペンをインスピレーションに見立てたり。
落ちて転がるグラスが自分の未来を現しているようで、ふと以前母に言われた言葉を思い出したり。
(グラスの音でビクついているのは、殴られた時の音のようで条件反射してしまったお芝居です。)
迫り来る未来の重圧に耐えられず、押しつぶされそうになるのを必死で振り払ったり。
彼が亡くなった時を想像して決意の言葉を口にしながらも、恐れからか後ずさっていたり。
感情が爆発しつつも羽ペンが目に入り、インスピレーションを与えなくてはと崩れ落ちたり。


歌詞と動きのリンクは是非DVDを観て確認してみてください。


私は感情が溢れて振り切ってしまうのをセーブするのが大変でした。

時折、投げた薔薇がすごい方向に飛んでいったり、
薔薇ごとインスピレーションの羽ペンを吹っ飛ばしてしまったり、
力が入りすぎて羽ペンを折ってしまい手がインクだらけになったり。

色々ありました(笑)。


この写メの後ろに写り込んでいるのが、ヴォルフガングのジャケットです。
サイズの大きい夫のジャケットをわざわざ着てパーティーに行くんです。
誇示してますよね。

ヴォルフガングが井上さんの時は井上さんのジャケットを着て、
山崎さんの時は山崎さんのジャケットを……と、その日のヴォルフガングに合わせて着ていました。

モーツァルト!の楽曲の中でも、この ♪ダンスはやめられない と ♪星から降る金 は、
どこか独特な、それだけで独立した世界観があると思います。

毎回その時のコンスタンツェの心情に合わせて、ライブ感のある生々しさを表現できたらと、
激しくも丁寧に歌わせていただきました。

レディ・ベスのオーディション楽曲であったこの曲を歌ったことで、
コンスタンツェにもベスにも繋がることができました。
私の中でとても大事な曲です。