仕事終わり。

丁寧に、オンラインのお見合い準備を進める。



本日のお相手は
①37歳 会計士さん

お相手のプロフィールは↓
成立してわずか3日後の、最短日程でのお見合い。


「かつての婚約者と、ソックリなお相手」


まだ、あれから1年も経っていない。

今でもときおり、夢に出る。


お見合いが決まってから、
気が気でなかった。







ビデオ通話のルームに入室。

自身の鼓動が、高鳴っている。


画面が暗転。


お相手が映し出される。




そこには、




かつての








かつての







かつての、うーん








全然ちゃいますがな。






そんで、
めっちゃラフな格好やな。



「こんばんは、はじめまして」

今からゴミ出しですか?




「あー・・・どうも。
 これもう始まってんですかね」



「そうですね、よろしくお願いします」


「あ、はい」


「お仕事は会計士ですよね。
 そのお仕事は長いんですか?」


「13年? ぐらいですかね。
 そちらの仕事は・・・なんだっけ、○○?」


「そうですね」


「で、どんなやつです?」





これ、あれだ。


天敵だ。



すこし声音を聞いただけでも、
ひしひしと伝わる。

普段から高圧的な態度なのが
目に浮かんでくる。
ヒトをモノのように扱うタイプの。


実物が、写真より老けて見えたり
するのは構わないが、

プロフィールと
印象が真逆なのはさすがに厳しい。


プロフィール文も、
コンサルか何かに作ってもらったのだろうか。
とても本人が考えた文章だとは思えない。



ひとまず、
こちらからも質問をする。


が、一言で返してくる。



そしてこちらに質問をする。

一言返すと、感想も特になく、
それ以上話を広げることもなく、


次の質問に移っていく。







そうして、



「・・・」


「・・・」


10分もしないうちに、
無言になってしまった。













「あー、そろそろ終わりますか」


気怠そうに言い放つ。
すでに画面に手を伸ばしている。



「そうですね、ありがとうございました」



こちらがお礼を言い終わる前に、
お相手はすでに退室していた。

こちらに興味もなく、
話しをしているのも
時間の無駄と判断されたか。









静かになった室内。








ひとつ、ため息を吐いた。




お相手は、かつての婚約者とは、
似ても似つかなかった。


--そう、安堵している自分がいた。



機材の後片付けを始める。








いつかのまぼろしは、
まぼろしのままに。