南タイの錫銭 2+1 パッタルン(補足)
バンコク入手コインの整理・分類の続きです。
タイ南部パッタルン県の錫・鉛ローカルコインEa Pae(穴銭)の新たなタイプを発見しました。
5.27g/34.5mm
表:上下に水牛、左右に花又は植物
裏:上にタイ語で「パッタルン」と花模様
この個体は、鋳欠けがあるのですが、図録未収載で初見。デザインに水牛を使った少し変わったデザインと、文字銘があることで、ワクワクしながら入手したものです(価格は安かった)。
タイ語銘があるのはパッタルンとソンクラーですので、既保有のものとタイ語銘を比較すると、パッタルンと書かれていることが分かりました。
タイ語「パッタルン」銘の比較(赤線で囲んだ部分):
更に、一応パッタルン発行と言われている「順利公司・崑記」も、今回コンディションの良いものを入手しています。
(左上:14.96g/38.2mm/1.8mm、右上:14.66g/37.3/1.8mmmm、左下:29.41g/37.9mm/2.8mm、右下(今回入手個体:18.12g/38.2mm/2.4mm))
4枚とも多分同じ型から作られていると思われますが、左下の個体だけ厚みがあり重量も他の3個体の倍あります。
尚、表面に打たれているCMは良く見ると大小の違いがあるようにもないようにも見え、左上と左下の個体は大、右下(今回入手個体)は小としました。右上は不明。CMのデザイン自体は同じなので、押し付けた時の力加減の差(深い・浅いの差)かなとも思いましたが、現物を注意深く見るとCM自体の大きさが異なるように思えます。
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今回のまとめとして、パッタルン発行のものを並べて見ました:
① 南邦通寶・パッタルン(タイ語)
10.46g/36.7mm, ref. Pridmore-224/Krisadaolarn D-903
11.05g/36.5mm, ref.同上
表:南邦通寶
裏:パッタルン(タイ語)CM PL(パッタルンの意味)と不明漢字(寅泰?)
丸孔
パッタルン発行の代表的な銭種。南部タイの中心都市ナコーンシータマラートの南に位置することから「南」、パッタルンの発音を短縮して発音(パン)に似た「邦」の字を当てたものと思われます。
② 南邦通寶・パッタルン(タイ語)CS1245
13.48g/39.3mm, ref. Krisadaolarn D-903
表:南邦通寶
裏:パッタルン チュラ・サッカラート1245年(タイ語)
丸孔
CS1245年は西暦1881年。年号入りは希少。
チュラ・サッカラートはピューのシュリークシュートラが西暦638年3月22日をゼロ年起点として始めたビルマ暦をタイが取り入れたものだそうです。うるう年等の為か算数は合いませんが。。。
③ 如進公司・パッタルン(タイ語)不明漢字二字
11.29g/37.4mm, ref. H-3.865, Pridmore-221, RK-D903
14.22g/37.7mm, ref. H-3.865 var., Pridmore-221 var. , RK-D903 var.
表:如進公司
裏:パッタルン(タイ語)不明漢字二字 CM和隆(または、發)(下の個体はCM無し)
丸孔
④ パッタルン(タイ語)不明漢字二字・花模様
6.62g/36.0mm, ref. Krisadaolarn D-903
表:パッタルン(タイ語)不明漢字二字
裏:花模様
丸孔
割れ補修あり。
⑤ パッタルン(タイ語)不明漢字二字・花模様(小型・異なる花模様)
13.61g/33.1mm, Krisadaolarn D-903
表:パッタルン(タイ語)不明漢字二字
裏:花模様(上記④とは異なる模様)
丸孔
本個体の方が④より径は小さいが厚みがあるため重い。図録上、④と⑤は重量がそれぞれ大幅に異なる個体が存在するので、重量のコントロールが緩かったのか、同じデザインで異なる額面(重量)のものがあったのか。多分前者でしょう。
尚、花模様が異なる他のタイプも存在します。
また、③と④⑤は、タイ語銘の面は同じデザインです。
⑥ 水牛と花模様
5.27g/34.5mm, no reference
表:上下に水牛、左右に花又は植物
裏:上にタイ語で「パッタルン」と花模様
⑦ 順利公司・崑記 花模様
14.96g/38.2mm/1.8mm, CM(大), no reference
14.66g/37.3/1.8mmmm, CM(大?)
29.41g/37.9mm/2.8mm, CM(大) (注)2倍重量
18.12g/38.2mm/2.4mm, CM(小)、(今回入手個体)
表:順利公司 CM花2(大/小)
裏:昆記 花模様
方孔
あるオークションではパッタルンとされていましたが、全体的な雰囲気はナコーンシータマラートのものに近いように感じます。
(参考)パッタルン
以下の写真はパッタルン県の位置(赤線で囲んだ部分)と東部に広がるソンクラー湖の漁撈網と夕日。
出典:ウィキ及びタイ政府観光庁HP
(Thailand Phatthalung locator map - パッタルン県 - Wikipedia)
(パッタルン | 【公式】タイ国政府観光庁 (thailandtravel.or.jp)
参考:
The Evolution of Thai Money From its Origins in Ancient Kingdoms, Ronachai Krisadaolarn
南タイの錫銭4 パッタルン | アジア古代コイン (ameblo.jp)
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