(シュリビジャヤ仏像の特徴の「羚羊(レイヨウ)=ヌーやオリックスのような草原に住む羊蹄類。肩から羊が逆さまに万歳しているような模様の紐状の装飾となっている。)
チャイヤー出土の観音菩薩立像(7ー8世紀):
(羚羊と化仏のあるシュリビジャヤ仏像の特徴がよく出ています。)
チャイヤー出土のリンガ(7ー8世紀):
スラータニー県出土のヴィシュヌ神像(5ー7世紀):
チャイヤー出土のヴィシュヌ神像(4ー5世紀頃)
(シュリビジャヤの前、扶南の勢力下の盤盤国時代?):
ナコンシータマラート出土碑文(7世紀):
スラータニー県出土のヴィシュヌ神像(7ー8世紀):
同上:
このあたりは、前回ロップブリ美術で紹介したペチャブリ県出土のヴィシュヌ神立像と同じような気がします。時代も同じなので線引きが難しいですね。地理的にクメール王朝の版図だったかで分けたのでしょう。
タクアパ出土のヴィシュヌ神立像(7ー8世紀):
これはかなり大型で、高さ3m以上ありそうです。
タクアパは、マレー半島西岸で、東岸のチャイヤーとは、当時主要な半島横断ルートのひとつとして結ばれていました。半島横断ルートの東西で、同じようなヴィシュヌ神立像が出土しているのは興味深いですね。
チャイヤー発見のスリヤ(太陽)神像(10ー11世紀頃):
スラータニー県出土のシヴァ神像(10ー11世紀):
この碑文はシュリビジャヤ帝国とジャワのシャイレーンドラ朝の関係を示す重要なもの(↓注)なのですが、うっかり説明板を見逃したか、説明自体がなかったかで、現地では全く気がつきませんでした。
今回記事を書きながら「アレ、これもしかしてリゴール碑文?」と気がついたのは良かったのですが、説明板の写真がなく、本当にリゴール碑文なのかネット上の写真で確認しようとしました。ところが、ネット上に何故か写真が見つからず結構苦労しました。博物館の怠慢か、碑文の新しい解釈で重要性に疑念が生じたのかもしれません。
(注):
タイ南部ナコーンシータマラートで発見された「リゴール」碑文には、775年シャイレーンドラ家のシュリビジャヤ王が3つの寺院を建立したことが記録されており、この時点で、シャイレーンドラ朝がシュリビジャヤの支配を行っていたことが分かります。これは、シャイレーンドラ朝がシュリビジャヤを征服したというより、両家の間の婚姻関係で一体化していったと考えられています。
チャイヤー発見の13世紀の碑文(詳しい説明ない):
グラヒ仏
13ー14世紀、チャイヤーで発見されたもの:
時代的には既にシュリビジャヤは弱体化、又は消え去った後のタンブラリンガ(単馬令)時代のもので、スコタイ様式の青銅製の仏像。ナーガの7つの頭の下で右手を地面に向けて垂らす触地印を結ぶ珍しいスタイル。
銘文の言語はクメール語、文字はジャワ語、王名はムラユ(スマトラ)の王との強い共通点があるとの事。
チャイヤー出土の観音菩薩立像(9ー11世紀):
チャイヤー出土の八臂の観音菩薩立像(9〜10世紀):
(羚羊と化仏がよく分かります。)
チャイヤー出土の仏弟子立像(13〜14世紀):
チャイヤー出土の守護神像(13〜14世紀):
チャイヤーの仏像(10-11世紀):
チャイヤーの八臂菩薩立像(9〜10世紀):
パタニ県出土の弥勒菩薩立像(9-10世紀):
タイ南部各地出土の塼仏:
トラン県出土:
チャイヤー出土(9-10世紀):
同:
パッタルン県出土(10-11世紀):
トラン県出土(10-11世紀):
パッタルン県出土(10-11世紀):
トラン県出土(10-11世紀):
トラン県出土(9-10世紀):
パッタルン県出土(9-10世紀):
ヤーラ県出土(9-10世紀):
パッタルン県出土(9-10世紀):
同:
タイ南部もかつては仏教が盛んであったことが良く分かります。特にチャイヤーでの出土品は相当なものです。
しかし、同じシュリビジャヤ(シャイレンドラ)でもジャワとは仏像のスタイルはかなり異なるような気がします。
コインについては、展示はありませんでした。
タイ南部でもシュリビジャヤ(シャイレンドラ)の金貨、銀貨は珍しくないのですが、パレンバンで出土する錫貨は出ないようです。
尚、金貨は従来はセサミシードタイプだけで、角型がタイ南部出土、丸型(球形)がジャワ出土と、推定していました。
セサミシード角型金貨:
最近1〜2年は、サンダルウッドフラワータイプ(銀貨とほぼ同じ形状)の金貨もタイの市場で眼にする様になりました。
サンダルウッドフラワータイプ金貨・銀貨:
サンダルウッドフラワータイプ金貨:
(1単位、1/2、1/4、1/8、1/16、1/32単位があります。)
このタイプはスマトラ島ジャンビでまとまって出土したと聞いていましたが、その一部がタイのマーケットに出てきているのか、タイ南部でも出土しているのかは不明です。
(続く)
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