今回バンコクで入手したコインの紹介です。(その①)

 

既に、旅先で簡単に紹介していますが、改めて少し詳しく取り上げます。

 

先ず、ドバーラバティー関連です。

 

入手した五枚。

 

 

 

元々、ラインの写真で見た時は、状態が悪すぎて入手するつもりは全くなかったのですが、折角なので現物を見てみようという事でキティーちゃんにマッチングサービスとして、コイン保有者との間をアレンジしてもらっていました。

 

コレクターはタイコインでは間違いなく第一人者との事。年齢70歳のポンさんという人でした。それまではRonachaiが第一人者でレジェンド・大御所と呼んでいましたが、どうも自分の知っていた世界はまだ狭かったようです。(確かに、Ronはピューやドバーラバティーコインは以前からあまり興味ないとは言っていましたが…。)

 

このポンさんが、ギャンブルトークンを約2,700枚、博物館建設中のあるタイの金持ちに8百万バーツ(3千万円強)で売却したとの事。年なので少しずつコレクションを手放す予定との事です。

 

ポンさんはロープロファイル(目立ちたくない)の人で、一緒に写真を撮らせてもらったのですが、SNSには載せないでくれという事でした。

 

やはりコンディションは悪かったのですが、一部既保有品もあったものの、未保有タイプは、もう入手は殆ど不可能と思っていたものか・初見のものだったので、結局5枚購入してしまいました。現物を見てしまうと欲しいという気持ちに勝てなくなりました。(それでも2-3枚は見送りました。)

 

コンディションを勘案するとかなりの高値掴みとなるので散々迷ったのですが、そもそも、現存数が数枚程度のものの市場価格は無いと言って良いので、コア収集分野での一期一会の機会は逃すわけにはいかない。このレベルのレア品はコレクターが手放さないと入手のチャンスは無いと自分に言い聞かせて、思い切りました。

 

ただ、普通の人が見るとなんでこんな状態が悪いものを購入して喜んでいるんだ?バカじゃないか?と思われても当然ですが…。(仮にAWなどに出品しても自分の入手価格より相当安い価格でないと買う人いない、又は不落になる事は十二分に想像できます。)

 

前置きが長くなりましたが、後で、記事がどこにあるのか写真で検索できるように一枚ずつ紹介します。

 

 

①    牝牛と子牛に、プルナカラーシャ壺を組み合わせたダブルユニット銀貨

 

AR Double Unit, 4.25g/24.5mm, ref. n./a. (伝ナコンパトム出土)

 

表:右向きの牝牛と子牛。その前に小さなプルナカラーシャ壺。

裏:サンスクリットで「徳の高いドバーラバティーの王(Sri Dvaravati Svarapunya)」の銘。

 

この銘のある銀貨は以前二種類のみ知られていました。牝牛と子牛のものとプルナカラーシャ壺のものの二種類で、いずれも2g前後のいわゆる20 rattis単位。

 

今回入手したタイプは、実物の計測をして初めて気が付いたのですが、多分、40 rattis重量単位で、従来のタイプの2倍のものです。

 

(ピューコインの場合は、80 rattisないし96 rattisが標準単位で、最も現存数(発行数)が多い為、これを基準に、20 rattisのものを1/4単位と呼んでいますが、ドバーラバティーの場合は、現存数を見る限り20 rattisが標準と見受けられるので、表現を変えています。)

 

このタイプは過去の図録(Mitchiner, Ronachai, Htun, Mahlo)いずれも未収載。2022年のオークションで初めて市場に出たものです。

 

当時も注目していたのですが、状態が今一つ。既存の2種類を合成してコレクターが飛びつきやすいように作った贋作の可能性もあると考え写真だけでは判断できず入札しませんでした。今回は現物を見て、チョット色が気になりましたが、問題ないと判断しました。

 

 

ドバーラバティー銘のある3種のコインを並べると:

 

 

 

 

②   通常の牝牛と子牛のもの(比較の為):

 

AR 20 rattis, 2.23g/15.8mm, ref. Mitchiner SEA 672 var., Krisadaolarn A601 var.

 

(ex-Ronachai Krisadaolarn Collection)

 

 

表:右向きの牝牛と子牛。

裏:サンスクリットで「徳の高いドバーラバティーの王(Sri Dvaravati Svarapunya)」の銘。

 

自分が保有しているコンディションの良くないこの個体は、元々ロナチャイ氏のものだったことが今回写真を見比べて判明しました。

 

Mitchiner及びKrisadaolarn図録、及び、バンコク国立博物館展示の個体は、表の牝牛と子牛は左向き。他に、子牛が乳を飲んでいるもの(牝牛と子牛が逆向きで、左右2パターン)があります。他にもバラエティーがあるかもしれませんが、このタイプは市場で見ることが殆ど無いので全体像は不明です。

 

(参考)

 

両方左向き。(一番右の個体は、牝牛左・子牛右向き(乳飲みではない)タイプ):

 

(出典:Ronachai Krisadaolarn Collection)

 

 

両方左向きタイプ:

 

(バンコク国立博物館)

 

 

牝牛左向き乳飲み子牛右向きタイプ:

 

(タイ政府財務省貨幣博物館)

 

(パンコレクション・今回購入しなかった個体)

 

 

牝牛右向き乳飲み子牛左向きタイプ:

 

(パンコレクション・今回購入しなかった個体)

 

 

 

 

③  通常のプルナカラーシャ壺のもの(比較の為):

 

AR 20 rattis, 2.09g/17.5mm, ref. Mitchiner SEA 674, Krisadaolarn A602

 

表:プルナカラーシャ壺。

裏:サンスクリットで「徳の高いドバーラバティーの王(Sri Dvaravati Svarapunya)」の銘。

 

プルナカラーシャ壺の形状の違いで多数のバラエティーがある。3種の中では最も現存数が多い。

 

また、Krisadaolarnの図録には9.53gの80又は96 rattis単位のものが一個体だけ掲載されています。

 

(出典:Ronachai Krisadaolarn Collection)

 

 

牝牛と子牛タイプはもう少しバラエティー(特に両方左向きタイプ)・コンディションの良いものが欲しいのですが、中々難しそうです。

 

 

 

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