以前ウェブ上で展示物が紹介されていて、タイやミャンマーコインの情報収集に使っていたので、今回実際に訪問しました。
見学はガイドツアーだけ。今回の参加者は自分一人。プライベートツアーとなりました。無料です。
先ず、ショート映画でコインの起源や歴史の説明(タイ語のみでさっぱり分かりません)。結構凝っています。
展示は、なぜかマレー半島の錫アニマルコインから。
マレー半島の錫貨。「18世紀ペラ州の錫鉱山では、初めに出鉱した錫を動物の形に成形して、地鎮祭の様なことをした。それ以降様々な動物の形の錫貨が作られた。」との事。
そして、自分にとってはメインとなる古代ミャンマーのピューコイン(扶南旭日銀貨)。
説明文は扶南のコインとしてあり、残念ながら明らかな誤りです。
ただ、型の展示があり、ツアー中にミュージアム側で確認してくれたのですが、タイ国内の出土品との事です(具体的な出土地は不明)。
デザインを見ると、地平線(水平線)の上/下の光条はそれぞれ7〜8條と思われ、ピューのオリジナルを模したものがタイ側で鋳造されていたという事だと思われます。
タイ出土の扶南旭日銀貨。少額銭がないので、半分や4分の1に切って使用する例が良く見られる。ピューでは見られない特徴。一番手前は「シリアム銀貨」だが、これも切れ込みが入っている。(切れ込みだけ入れてカットしてないと言う事は、いつでも半分にできるようにとの事だったのか?)
奥から2番目のスリバッサのデザインは過去に見たことがない物。
同じ分野のコイン。左手前は、ピューオリジナルとはスリバッサの趣きが異なる。真ん中の半分のものはシュリークシュートラ第二世代銀貨。ドバーラバティの独自の銀貨が出てくる前は、色々なタイプのミャンマーのピュー/モンコインやそれらを模したローカルコインがタイでも流通していた事が分かる。
そして、ドバーラバティ銀貨です。
これはプルナカラーシャと呼ばれる豊穣の壺の凝ったデザインのものだと思いますが、ロナチャイ図録にはないタイプだと思われます。裏面是非見てみたいのですが。
これは、多分裏面のスリバッサの下に魚が描かれているドバーラバティ独自のコインでしょう。残念ながら展示物でこのデザインを見せているものはありませんでした。
これはドバーラバティコインでは多分一番重要な、表面: 牛の親子、裏面:「徳のあるドバーラバティの王」の銘の銀貨。
SHANVARMANATH(徳の高いイシャンバルマン王)、裏面にArch Ya(王の名のもとに)の銘が刻印された銀貨です。
これはプルナカラーシャのデザインですが、ちょっと趣きが異なります。裏面是非見たい。
ドバーラバティの展示は貧弱です。
ラバプラ(ロップブリ)の銀貨。
カンボジアのクメールの勢力にドバーラバティは屈して、ロップブリが属国のようになって「ラバプラ」と呼ばれる国であった頃の物。
表「ラバ」、裏「プラ」銘のラバプラ銀貨。かなり希少です。初めて実物を見ましたが、径が意外に大きい。
ラバプラ銀貨でも、タイプが異なるように思われます。
スコタイ時代
上の方はいわゆる「ブレットマニー」。しかし、タイ語のPod Duang は「虫の形のお金」と言う意味です。武力で植民地獲得に動いていた西洋人が、形状を見て弾丸を連想して名付けたのでしょう。
スコタイやアユタヤも武力で領土を拡大したのですが、タイのイメージはのどかな農村なので、弾丸のイメージとは少し異なります。
形状から「虫」とは、ダンゴムシのようなものを想像します。平和なタイの農村風景にマッチした呼称だと思います。
スコタイ時代のクルップと呼ばれる卑金属でできたコイン。
以前はセレモニー用のものと言われていたが、ガイドさんの説明は、通貨として流通していたか、分銅だったかもということでした。こちらが現在の定説だと思われます。
北部ランナー王国のもの。
ランチャン王国(現在のラオスやイサーン)のもの。
ナコーンシタマラート王国貨幣「Ea Pae」。散々JJで頑張った分野です。
展示はソンクラーとパッタルンの一部のものだけで、寂しい限りです。
ラタナコシン時代(現在のチャクリ王朝)のPod Duang大型銀銭。重さ数キロありそうです。
ラーマ4世の記念金貨。1864年。タイで一番高いコインで、オークションでの落札価格は10百万バーツ(約4千万円)。日本人が落札したそうです。
ギャンブルトークン
展示物の中心はラタナコシン朝のもので、ここだけは膨大な量のコインが展示されていました。あまり興味がないのでほとんどスルーしました。
以上です。
(続く)
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