古代インド23 カーシー国(Kashi Janapada)PMC

 

カーシー国は十六大国の一つで、PMC(Punch Marked Coin)を発行したのはかなり早い時期と考えられています。

 

本来は、古代インドの最初の方の記事にすべきですが、このコインも7月の新たな入手となったので、遅ればせながら今回紹介します。

 

カーシー国は、ガンジス川中下流のヴァラナシを首都とするジャナパダです。ヴァラナシは伝説上シバ神によって建設されたと言われ、現在でもヒンズー教の最も重要な聖地のひとつです。

 

十六大国

出典(ウィキ:Kāsī (kingdom) - Wikipedia

 

ミッチナーによると、カーシー国は紀元前525年頃、そのほとんどの領域がコーサラ国に、一部がマガダ国に吸収されたと考えられるので、カーシーのPMCはそれ以前のものとされます。ただ、現在では、オークショナーによって発行時期の説明はタイプによって異なりますが、概ね紀元前5世紀とされています。

 

 

KASHI: Punchmarked, ca. BC 525-465, AR vimshatika (4.30g), Ra-753 ff, 4 basic punches, plus 4 bankers marks on reverse. 4.30g/27.8x20.9mm.

 

表:二つの異なる複雑な模様が2個ずつと思われる。

裏:種々のバンカーマーク4個。

 

表に4つのパンチマークがあり、二種x2のものが最初期のものと考えられています。カーシー国のPMCは時代が下るに従って、表に4パンチという特徴は維持されますが、徐々にパンチマークの種類が変化し、種類が3-4種類に増えるものも出てきます。

 

この個体とドンピシャ該当するものはミッチナー図録にはありませんでした。

 

 

元々、古代インドPMCはあまり収集の対象としてなかったのですが、自身のブログで取り上げる中で、やはり最初期のPMCであるカーシー国のものと、マガダ国の最初期のタイプ、そしてできれば他のジャナパダのものも少し欲しいと思っていたところに、丁度オークションでの出品があり、余り競り上がらずにかなり安価に落札できラッキーでした。

 

 

参考:

カーシー国 - Wikipedia

Oriental Coins and Their Values, The Ancient & Classical World, 600 B.C. – A.D. 650, by Michael Mitchiner, 1978年

 

(続く)

 

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