古代インド 19 パンチャラ その2 デュルバミトラ(Dhruvamitra)
語尾にミトラのつく王の一番手、デュルバミトラ(Dhruvamitra)の銅貨です。残念ながら、前回紹介したルドラグプタのものと殆ど見かけは同じで、これといった特徴の無いものです。
2.デュルバミトラDhruvamitra(紀元前75-50年頃)
AE 1/2 Karshapana, 3.81g/19.9mm, ref. Mitchiner-4538
表:神檀(又は柵)上に戦棍(ヴィシュヌ神の武器で「カウモーダキー」と呼ばれる棍棒)?と軍旗。
裏:凹みの中、上部に三つのシンボルからなるパンチャラの紋章。下部にブラフミ文字「Dhruvamitrasa」。
表の中央のシンボルについては、シバ神の武器のトリシューラ(三叉槍)と記載されているものもありますが、前回紹介したRudraguptaのトリシューラははっきり上向きの三叉が確認できますが、これはどちらかというと先端に鉤状のものが付いた棒のような形状で異なります。
「デュルバ」はヴィシュヌ神を信仰する修行者という意味だそうですので、ヴィシュヌ神にちなむものが描かれているはずです。従って、少なくともトリシューラではないと思います。ヴィシュヌ神の武器で棒状のものは「カウモーダキー」しかないので、そのように推測しています。
(続く)
参考:
Oriental Coins and Their Values, The Ancient & Classical World, 600 B.C. – A.D. 650, by Michael Mitchiner, 1978年
(続く)
PS: 本ブログ掲載のコンテンツ(写真・文章等)の無断使用を禁じます。利用ご希望の方は、hirame.hk@gmail.comへご連絡ください。