ボルネオの大港公司(3)・和順公司・宝樹公司
インドネシアからのグッドニュース(その1)です。
インドネシア・西カリマンタンの錫銭の新たなタイプが入手できました。
① 大港公司/和順・えせ満州字
6.97g/27.2mm
表:大港公司
裏:和順(上下)、えせ満州字(左右)「寶・寶?」
発行地:ボルネオ島 南カリマンタン州 Sambas地方 Montrado地域
発行時期:1822-1852年
“The Gonsi Cash Pieces of Western Borneo and Bangka in Ethnographical Museum at Rotterdam” by T.D. Yih and J. DeKreek 未収載品 非常に珍しいタイプ。
今まで知られていた、「大港公司・和順」の裏面にえせ満州字が加えられている。
満州字の無い従来の「大港公司・和順」のタイプと比べると、サイズ・重量は小型のものに近いが、字体・風合いはかなり異なる。材質(錫と鉛の比率)もかなり異なると思われる。
因みに従来の「大港公司・和順」(大型)タイプは次のようなものです(以前別記事で紹介):
15.56g/32mm, Ref: Milliers 258
表:大港公司
裏:和順
発行地:ボルネオ島 西カリマンタン州 Sambas地方 Montrado地域
発行時期:1822-1852年
材質:錫(鉛も少量含む)
② 宝樹公司・えせ満州字
5.20g/26.6mm
表:宝樹公司
裏:えせ満州字「寶泉」(清銭を模倣したもの)
発行地:ボルネオ島 西カリマンタン州 Sambas地方
発行時期:1822-1852年(?)
材質:錫・鉛
上記「ロッテルダム民族学博物館のボルネオ公司キャッシュコイン」未収載品。この公司の名称すら文献・地図にはなく、非常に珍しいタイプと思われます。バンカ錫銭の間違いかとも思いましたが、バンカ錫銭の図録にもこの公司の名前の銘があるコインはありません。
「宝樹」は金の成る木(?)。西ボルネオの華僑公司の生業である金採掘を指すのか?又は、この公司は金採掘ではなく熱帯雨林の香木等、高価な材木の採集・輸出を生業にしていたための名称か?→想像が膨らみます。
③ 和順公司・えせ満州字
5.70g/29.7mm
表:和順公司
裏:えせ満州字「寶桂(Boo Gui)」(清銭を模倣したもの)
発行地:ボルネオ島 西カリマンタン州 Sambas地方
発行時期:1822-1852年
材質:錫・鉛
参照:上記文献のPlate 25/#3 満州字「Boo Gui」。EM20 Inv.#3338(6.17g・29.8㎜)
既保有品ですが、既保有品は欠けあり状態が悪かった為、より状態の良いものにアップグレードしました。どの個体も彫りが浅く同じようなサイズ・重量・風合いのものです。
参考:西ボルネオの華僑公司の分布
(続く)
参考:
“The Gonsi Cash Pieces of Western Borneo and Bangka in Ethnographical Museum at Rotterdam” by T.D. Yih and J. DeKreek
ちょっと寄り道 ボルネオ和順連合大港公司 | アジア古代コイン (ameblo.jp)
ボルネオの和順公司と霖田公司 | アジア古代コイン (ameblo.jp)
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