TICC 2023

 

 

水天宮のローヤルパークホテル・TICCにて、以下のコインの受け取りをしてきました。

 

ハリケラ王国(現在のバングラデッシュ付近)の片面打ちの薄っぺらな銀盤です。30ラティス。10世紀頃。

 

HARIKELA: Anonymous, ca. 10th century, AR broad bracteate (52.5mm) (3.34g), Mitch-508, bull left, full royal legend above, wonderful strike! EF.

 

表:左向きのコブウシ。上にブラフミ文字で「ハリケラ」。

裏:表の陰刻。

 

Ref. Mitchiner-230/233

 

 

現物を見るのは初めてです。径が5cm以上あり、視覚的なインパクトが大きいことに驚きました。

 

 

 

色もきれいで、これでもこのタイプではほぼベストの状態です。縁の欠けが少ない。(通常、縁がかなり劣化・ボロボロになっている。)

 

このコインは、オークションでは次点で落札できなかったものですが、2か月もたったある日、落札者が支払いできなかったので、次点のあなた自分の入札したマックス価格での購入に興味があるか?とオークショナーより連絡がありました。

 

ライブには参加せず、当方のマックス入札価格を置いていたものにかぶせられて、1入札単位(確か25ドルか20ドル)の差で次点になっていたもの。

 

こちらからは、仮に一番手(落札者)がいなかったとすると、3番手の最後の価格プラス1入札単位が自分の落札価格になったはずなので、その価格で購入したいと返答しました。(もちろん、3番手の価格はオークショナーしか分からないので、相手に悪意がある場合は意味のない交渉ですが。)

 

オークショナーの返答は、あなたのマックス価格で買う気がなければ、3番手に振るか、次回のオークションに再出品するという塩対応。

 

行間に、交渉に時間を浪費したくないという先方の意図をひしひし感じたのと、結局、3番手はあなたのマックス価格の1入札単位下だったと言われたら同じこと。(嘘をつく相手ではないと思ってはいましたが。)

 

さらに、このコインは最近10年程、市場で見られなくなっていたものだったので、やはり、欲しいという気持ちが勝り、理屈をこねるよりも、スパッと白旗上げて購入を決めました。

 

今日、現物を見て、「買っておいて良かった!」と心から思いました。色もいいし、大きさが!

 

薄く壊れやすいので、収納が悩ましいところです。

 

 

 

その他気が付いたことは:

 

自分のブログ記事が古代インドのPMCの紹介に入りかけたところで、自分のコレクションにないガンダーラのベントバー銀貨、コーサラとか、カーシーと思われるPMCがD社さんのブースにあり、買おうかなとも思ったのですが、やはり、自分の古い価格イメージの倍以上だったので諦めました。

 

私の機能不全の脳は、コインの価格自体とドル/円の為替レートが現状に全くついていけてないので、日本円表示の価格を見ると、まず円を@100でドル換算して、自分の頭の中にある15年以上前のドル価格と比較してしまうのです(私が集める分野のコインは、中々日本では入手できないので、頭の中の価格イメージはドル表示です)。そして、最初のリアクションは、理屈では分かっているものの感情的に購入をためらってしまいます。一呼吸おいて、冷静に計算しなおせば少しは差が詰まりますが、それでも踏み込めなかった。帰りの道すがら、この円安のトレンドの中、買っとけばよかったかな~と反省しきりでした。

 

バクトリア・インドグリーク・インドスキタイ・月氏・クシャン等はいくつかのブースで見ましたが、残念ながら、これといったものは物的にも・価格的にも見当たりませんでした。

 

但し、アルケビオスのテトラドラクマ銀貨はかなりお買い得なのがありましたが、モノグラムは別にして既保有品だったのと、フランの形状にやや気になる点があったので、見送りました。

 

アメリカのオークショナーは、とにかく忙しくて仕方がない。帰ったら一万五千枚ものコインがオークションの準備を待っていて、TICCは息抜きだと言っていました。

 

今回、東南アジアの業者が複数ブース出してきていたのには驚きました。ブースはなかったですが、インドネシアのオークショナーの社長も来ていたそうです。

 

昔と比べると、若い人も増えているし、外国人の参加も増えたように感じました。

 

最後に、今回は、ブログ友さんに会えて、海外コイン研究会の皆様と知り合えて、将来自己流ではなく、いろいろ知識を増やしながら収集を続ける良い機会になったと思います。

 

ありがとうございました!

 

 

番外編

人形町にて:

 

甘味処・森乃園。二階はいろいろ美味しい・甘い物があるらしいのですが、行列だったのであきらめて、路地でほうじ茶ソフトを。面白い味ですね。

 

 

 

 

コイン道楽の罪滅ぼしで、人形焼きと柏餅をお土産に。壽堂の柏餅は手作りで美味でした。(人形焼きはまだ食べてません)

 

 

 

 

折角なので水天宮へ。でも、ここも行列。

 

 

 

 

参考:Oriental Coins and Their Values, The Ancient & Classical World, 600 B.C. – A.D. 650, by Michael Mitchiner, 1978年

(続)アラカンのチャンドラ朝(ハリケラ王国銀貨) | アジア古代コイン (ameblo.jp)

 

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