ピュー17 エーヤワディー川流域中部 Magweのハイブリッド型銀貨

 

AR Reduced Unit, Magwe, Pyu-Mon Hybrid type coin, Ref. Mahlo 54.1var., Htun 203 var.

 

表は、スタンダードな旭日銀貨と同様上下6條の光条のある旭日のモチーフですが、裏面は、マルタバン湾のシリアム銀貨に似たデザインとなっています。

 

左の個体は以前何かのついでに紹介したような気がしますが、最近右の個体も入手できましたのでまとめての紹介です。

 

左の個体:9.33g/31.2mm、裏面:左右両側にダマル(振鼓)

右の個体:8.87g/30.5mm、裏面:左横と下にダマル、右横に単純化されたスワスティカ(卍)。

 

スタンダード旭日銀貨、シリアム銀貨、及びハイブリッド型の比較です:

 

上段はスタンダード旭日銀貨、下段はシリアム銀貨、そして中段が今回紹介銀貨です。(左右は同タイプの異なる個体の表裏面)

 

並べてみると、中段のコインのデザインは、表が上段、裏が下段のものに近く、ハイブリッド型となっています。旭日銀貨はピュー、シリアム銀貨はモンですので、ピューとモンのハイブリッドとも言えます。

 

出土地は、エーヤワディー川中流のベイクタノに近い、Magwe付近で、この地域は9-10世紀頃と思われるピューの遺物(仏像や金の装飾品)が多数出土しているとの事です。コインについては、このようなハイブリッド型が1999年に約160枚壺に入って出土、更にやや下流のAunglan/Myandeでかなりの量が出土したそうです。出土状態が悪く、一見スタンダードな旭日銀貨に見えるため、ほとんどの個体がその特殊性を認識されることなく、鋳つぶされたと思われます。したがって、比較的珍しいタイプです。

 

銀の純度は高いものの、いずれもコインも表面が黒色や褐色を呈し、裏面のスリバッサ周辺シンボルのバラエティーがいくつかあるようです。

 

Mahloはピューが南詔の侵攻で832-835年頃に滅亡後、この地域に残った小さなピュー王国のものではないかと推定しています。

 

 

参考資料:

 

The Early Coins of Myanmar (Burma), Messengers from the Past, Dietrich Mahlo

Auspicious Symbols and Ancient Coins of Myanmar, Than Htun

 

 

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