引き続き南インドの古代コインです。前回もそうですが、なじみのない名前で、カタカナでどう表記するのかも良く分からない国の名前が多くなりました。
コイン自体は、南インドの古代コインではよく知られているタイプで、珍しくNumistaにも複数タイプが掲載されています。
PB Unit, 2.45g/14.2mm, ref. Mitchiner 5067
表:抽象化された右向きの象
裏:ウッジャインシンボル
コイン自体は非常に簡素なもので、デザイン上さほど魅力を感じるものではありませんが、現存数も多く、更に微妙にタイプが異なる数種類があるようです。
イクシュヴァーク朝(アンドラ・イクシュヴァーク朝)
元々はサータヴァーハナ朝旗下の封建領主だったものが、サータヴァーハナ朝が衰退した後、南インド・クリシュナ川の中下流域を、3世紀初めから4世紀にかけて支配。首都はビジャヤプリ(Vijayapuri・現在のアーンドラプラデーシュ州ナーガジュナコンダ(Nagarjunakonda))。4世紀半ばにパラッバ朝の版図に組み込まれ属国となります。
王朝の存続期間は約百年(7代)と比較的短いのですが、首都のナーガジュナコンダの遺跡は紀元前からの古いもので、仏教大学もあった南部インドの仏教の中心の一つで、3大仏教美術様式(ガンダーラ、マトゥラー、アマラーヴァティー)の一つであるアマラーヴァティー様式の多数の遺構が残っていたため、人造湖の建設に伴い集中的な発掘調査と遺跡の移転が行われ、イクシュヴァーク朝に関する碑文やコインも多数発掘されています。
尚、イクシュヴァークは、古代インドの伝説上の王で北インド・コーサラ国(アヨーディヤ)の創始者と同じ名前の為、アーンドラを前につけて混同を避けている場合もあります。(実際に、イクシュヴァーク朝はこのコーサラ国のイクシュヴァーク王の子孫だという説と、南インド・ドラヴィダ族説と両方あります。)
(終わり)
参考:
Coins from the Ikshvaku dynasty – Numista
https://ancientcoinsofindiaaruns.blogspot.com/2010/05/maratha-kingdom-chatrapati-shivaji-1674.html