家族に見守られることもなく、私を見守ってくれた愛犬が3月この世から旅立ってしまいました。
あまり吐いたこともない犬でしたが、数日前より吐くことがあり、立ち上がることも食事もできなくなリました。立ち上がれなくなり歩けなくなることは数年前から度々あり、獣医さんに連れて行くときには不思議と何もなかったように自然と歩けるようになっていました。散歩中も時々、歩くのをやめ物思いにふけるかのように立ち止まることが目立つようになっていましたが、14歳という年齢による衰えとばかりに思っていました。
旅立つ前日、私が仕事から帰ってくると、吐いてうずくまっていて、犬は申し訳なそうに顔を上げました。たまたま前日から家内は不在で、私と犬だけでした。さすがに、これは尋常ではないと感じ、帰ってきた家内と一緒に獣医さんの診療開始時間を確認し連れていきました。その日に限って診察開始が遅れました。立ち上がれないイヌの様子をみた獣医さんは神経系に得意で設備がある動物病院への受診をすすめました。すぐに車に乗せてそのまま初めて行く病院に連れて行きました。普段はほとんど鳴かない愛犬が、助手席で抱きしめている妻に訴えるようにうめき声をあげていました。病院に着くと、失便しました。診察開始前でしたが入れてもらえ、診察処置台にのせてくれました。その場で犬は吐きました。「気にしなくていいよ」と、優しく愛犬に声をかけてくれたスタッフの言葉が有り難かった。
診察が始まり、神経系がチェックされた。MRIを検討する前に、レントゲン検査と血液検査をすることになリました。血液検査の結果、腎機能と膵臓機能に異常があることが判明しました。結果から考えると、以前から腎機能は悪かったようですが、膵臓障害が起こり、急激に状態が悪化していたようです。獣医さんからは、今後の選択肢として、厳しいが入院して治療するか、家に連れて帰って様子を見るかの判断を任されました。この犬がいなければ、今のような片麻痺からの私の回復はなかったでしょう。助かるチャンスが少しでもあると信じ、入院に賭けてみることにしました。獣医さんと話しているうちに、涙が出てきました。「明日また来るね」と寂しそうな目をしている愛犬に声をかけて、家に戻りました。これが愛犬との最後のふれあいとなりました。
今でも、朝の散歩を続けています。以前と比べて時間も距離も短くなりましたが、淡々と歩いています。犬のトイレ休憩や不規則な動きはないので、歩き方の工夫も修正もできなく、ただただ、歩いています。散歩道で犬のことを思い出すと、姿が浮かんできます。