当時の私は、こんなふうに思っていた。


「食べなければ、脂肪が燃える」

「空腹=ダイエット成功」


――完全に、思い込みだった。


ここで初めて知った言葉がある。

**糖新生(とうしんせい)**だ。


人間の体は、思っている以上に賢い。

そして、同時に残酷でもある。


脳や赤血球は、基本的にブドウ糖をエネルギー源としている。

つまり、食事を抜いて糖質が入ってこなくても、

体は「じゃあ止まります」とはならない。


足りないなら、作る。


これが、糖新生だ。


問題は、その「材料」である。


糖新生で使われる材料は主に3つある。


  • アミノ酸(=筋肉の分解)
  • 乳酸
  • グリセロール(脂肪由来)



ここで、嫌な予感がした人。

正解だ。


当時の私のように、


  • 運動習慣なし
  • 筋トレ知識なし
  • タンパク質摂取も適当



そんな状態で、長時間の空腹を作るとどうなるか。


体はまず、筋肉を分解して糖を作ろうとする。


脂肪は「非常用電源」だ。

できるだけ温存したい。


一方で、筋肉は

「使ってないなら、まあ削っていいか」

くらいの扱いを受ける。


つまり私は、


痩せるために、代謝を落とす行為をしていた

というわけだ。


しかも筋肉が減れば、基礎代謝も下がる。

基礎代謝が下がれば、同じ生活をしていても太りやすくなる。


――地獄のループである。


16時間食べない。

その後に、好きなものを好きなだけ食べる。


一見、理にかなっていそうで、

知識のない人間がやると、

最もやってはいけないダイエットの一つだった。


当時の私は、まだ知らなかった。


「楽に痩せる方法」が、

一番高くつくということを。