特に今気をつけていただきたいのは、親と子の「コミュニケーション」です。

 みなさんは、親子で十分な「コミュニケーション」ができていますか。

もしかすると多くの方は遠く離れていて、なかなか話す機会もない、また一緒に暮らしていても、男同士だと、あまり話しをしないというのではないでしょうか。

 昔は、それでも良かったのです。

親子で話し合う機会がなくても、相続の際にモメることもなかったようです。

 

 戦前の民法では、長男がすべての財産を受け継ぐものと決められていました。

それが当たり前だったのです。

 長男以外が「権利」を主張することはあり得なかったのです。

それが戦後の民法では、すべての兄弟姉妹が「平等」に財産を相続できることになりました。

 兄弟姉妹が均等に財産を受け継ぐ「権利」が、法律で定められました。

 

 ただ法律が変わっても、旧民法が当たり前だった戦前・戦中生れの人は、「長男がすべてを継ぐのは当たり前」だと思い続けています。

 そういう両親に育てられた子ども(60代以上)は、同じようにそれが当たり前だと思っている人もいるようですが、一方「そんな時代じゃない」と言う人もいます。

 

 ではその子ども(30代以上)はどうでしょうか。

だいぶ意識が違うのではないかと思います。

 「権利を主張するのが当たり前」だと思っているかも知れません。

実際そうしないと生き残りにくい世の中になっているのではないでしょうか。

 

 相続に限らず、時代の流れの中で、「権利」に関する意識は、確実に変わってきています。

 今日は、「親子間」で意識や価値観のギャップが大きくなりやすい時代だということです。

 

 親が「自宅は残したいから、長男が継ぐのは当たり前」「長男なんだから、しっかり考えてくれているだろう」と思っていても、子どもが同じように考えているとは限りません。

 長男にしてみれば、「えっ今どき、そんなことありえない!」と思うかもしれません。

 

 核家族化も、価値観のギャップに拍車をかけています。

親子や兄弟姉妹が一緒に住んでいれば、大体同じような価値観を持ち、家族全体が運命共同体のような感覚を持ちます。

 けれども、それぞれが独立して世帯を持つと、自分の世帯のことを優先的に考えるようになります。

特に金銭的なことは、そうだと思います。

 不況のあおりを受けて、リストラや子どもの教育資金のことで悩んでいれば、なおさらです。

 

 意識や価値観に大きな違いがあるうえに、「コミュニケーション」もとれないとしたら・・・・。

 相続の際、モメてしまっても、当然だと思いませんか?

 

 

 

     平成 29 年 6 月 7 日

              行政書士 平 野 達 夫