先の税制改正で、大幅に増税された相続税のことが気になる方も、多くいらしゃると思われます。
この改正で、知っておかなければならない最も大切なことは、基礎控除の引き下げです。
相続が開始し財産を相続する時、その財産の金額から「基礎控除額」を差し引いたものに相続税がかかります。
もし相続財産が「基礎控除額」よりも少なければ、相続税はかかりません。
すなわち、「基礎控除額」が引き下げられたということは、より多くの人が相続税を納める対象になるといくことです。
では相続財産がどのくらいあると、相続税が発生するのでしょうか。
ここで「基礎控除額」の算出方法を見てみましょう。
改正前 5000万円+( 1000万円×法定相続人の数 )
改正後 3000万円+( 600万円×法定相続人の数 )
母親が亡くなり(父親はすでに他界しています)、2人の子供が法定相続人となる場合で考えてみましょう。
たとえば、この家庭の相続財産として、「土地」の評価が5000万円で、「現金」が2000万円あるとします。
合計で相続財産は7000万円です。
改正前は、「基礎控除」となる金額7000万円(5000万円+1000万円×2人の場合)でしたが、改正後は、4200万円(3000万円+600万円×2人の場合)に減額されます。
すなわち、以前なら7000万円の財産は、「基礎控除額」以下となります。
相続税を納めることはなくてすみましたが、これからは、相続税の納税が発生するということになります。
「うちにはそんなに財産がないから、相続税なんてかかりません」と言っていた方、例えば首都圏に一戸建ての自宅を持っていれば、それだけで、数千万円の財産になる可能性も十分にでてきます。
更に加えて、「預貯金・有価証券など」の相続財産とみなされるものを合わせますと、相続税が発生するラインをはるかに超えてまいります。
なお、実際に相続税を払わなくてすむケースでも、税務署への申告は、必要となります。
平 成 28 年 9 月 19 日
行政書士 平 野 達 夫