「土地を手離す」ことに難色を示す地主さんもいますが、相続税の試算や資産の効率を考えて、手離すことに納得される方も多くおられるようです。
売買に際して、借地人からいただく代金は、「底地権部分」に相当する金額です。
今ここに、「1平米の路線価が25万円で、広さ80㎡」の土地を想定して見ます。
この土地で言えば、「底地権部分」に相当する金額は、「単純な路線価評価」(25万円×80㎡=2000万円)の30~40%にあたる600~800万円になります。
借地人からすれば、今自分が住んでいる土地が、路線価の3割ないし4割程度の支出によって、完全に自分のものになるとしたら、決して悪い話では無いようにも思えます。
ただ、3割、4割と言っても、大きい金額になります。
簡単には、決断できないでしょう。
でも、思い切って決断し、借地人は買い取りに応じます。
ほかにも、多くの借地人が買い取りに応じてくれて、一つの資金の捻出が実現したとします。
このような「権利の調整」で得た金額を、地主さんは、そのまま「相続税納税の足し」にしてもよいのですが、相続税を納めるのは、被相続人が亡くなったときだけではありません。
その配偶者の奥さんが亡くなった際にも、またかかってきます。
大地主となると、相続税の一括納付はこれまた大変です。
もちろん、相続税は現金での一括納付が原則ですが、「延納」という形の分割払いも、視野にいれなければならなくなります。
そこで、先の底地権相当部分の売却代金をもって、アパート建築の資金の一部にすることもできます。
近くにアパートを一棟建て、安定的に家賃収入が入って来るようにします。
この収入を、「相続税延納資金」にするわけです。
行政書士 平 野 達 夫
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