養子ご自身としては、「養子にするけど、相続権を与えません」というのでは、もちろん、納得できませんね。
遺留分の放棄など、とてもじゃないけれど、簡単には応じないでしょう。
そこで、なんらかの「見返り」が必要になってきます。
被相続人方としては、きちんとした具体的な「見返り」策を講じなければなりません。
実際のところ、家庭裁判所が「遺留分の放棄を許可する」ポイントとして、以下の3つが挙げられます。
① 遺留分の放棄が、養子本人の自由意思に基づくものであるこ
と
② 遺留分の放棄の理由に、合理性と必要性があること
③ 相当なる代償性があること
①は、遺留分の放棄について、「養子の方が無理矢理にさせられていないか」ということ考えなければなりません。
②の「合理性」「必要性」というのは、抽象的な言葉と受け止められましょう。
それは、たとえば、「相続財産のほとんどが不動産で、相続人たちで分けるとすれば、細分化しなければならなくなってしまう」というケースで、この場合に、「合理性」「必要性」を満たすと考えられています。
③の「代償性」は、まさしく「見返り」です。
これは、遺留分の放棄の前に、「すでに、養子の方に贈与が行われた」か、若しくは遺留分の放棄と同時に、何がしかの「贈与」をするかが必要となってきましょう。
また一方、たとえば、「養子の方を受取人とする生命保険に入った」とか、「10年後、定期預金が満期となるので、そのときに養子の方に贈与する」といった形では、それがきちんと履行されないこともあるかも知れませんね。
どれも、不確かと解されてしまいます。
これらは、贈与が履行されないおそれがあるため、家庭裁判所での不許可になる可能性があります。
以上のように前述の3点が、遺留分の放棄するにあたって、養子を「説得」するためのポイントとして挙げらます。
行政書士 平 野 達 夫
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