被相続人作成の遺言書さえあれば、相続は全く心配はないと思っている方も多くいらっしゃいましょう。
ところが実際のところ、遺言書だけでは、解決不十分な可能性も出てまいります。
たとえば、遺言書に、「養子には、預金のうち300万円だけ相続させ、他の財産は妻と長男で半分ずつ」と書いてあれば、問題は多少は緩和されるかも知れません。
しかし、養子といえども相続では、あくまでも実子と同じく、「子供」の立場・地位でもって、こと進められます。
被相続人が遺した相続財産のうち、「遺留分」は、当該相続人に渡さなければなりません。
遺留分とは、「遺産の一定割合の取得を相続人に保証する」民法の規定です。
もしも遺留分を侵害するような遺言がなされたケースでは、当該相続人は、「遺留分を取り消す権利」を行使することができます。
これを、「遺留分減殺請求権」といいます。
遺留分とは、当該相続人が最低限主張できる「取り分」のことです。
この「取り分」は、ご承知のように、法定相続分の半分です。
法定相続人が妻と長男、それに養子の3人の場合では、財産の8分の1が養子の取り分、すなわち「遺留分」であります。
被相続人作成の遺言書の中で、「相続させる」と記載された金額が、遺留分に全く足りないケースでは、当該養子には、あとの不足分を請求できる権利があります。
もしもこれを主張されますと、結局は「土地を共有する」、「現金を作るために、土地を売却する」といった措置も、必要となりかねなくなりましょう。
このように、たとえ遺言書があっても、「完全な解決策」とは言えなくなります。
したがって、「養子に相続財産を持たせない」方法が、ここに必要となってまいります。
行政書士 平 野 達 夫
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