養子をとったことによる失敗事例として、多いパターンの一つを上げてみます。


 それは、「養子が亡くなった際に、他人である養子の兄弟に財産が渡ってしまう」というケースです。


 あなたが「血筋」を重視するのであれば、「娘の配偶者」や「息子の配偶者」を養子とすることも考えられます。


 この場合、先に養子が亡くなっても、その財産を相続する配偶者は、「被相続人、あなたの実子、すなわち、娘」です。


 また、「養子の子供」も、「被相続人、あなたの孫」です。

このケースでは、あなたの財産が他人に移るという心配はないようにも思えます。


 しかし、次のような事例では、いかがでしょうか。

Aさんは、会社を経営していました。


 Aさんが社長で、娘夫婦も手伝っておりました。

娘婿は仕事の能力が高く、人柄の面でも、Aさんは娘婿を信頼していました。


 そこでAさんは相続税対策も兼ねて、娘婿を養子にし、財産の一部である法人の株式や、所有する駐車場などを相続させるべく、遺言書も書きました。


 やがてAさんは亡くなりました。

そして娘婿は社長に就任しました。

ところが、その途端に娘婿は、「人が変わって」しまいました。


 娘婿は、被相続人Aさんから相続した法人の株式を、実家の兄に贈与し、その上、会社の経営にまで参画させてしまいました。


 さらに娘婿は、相続した駐車場を売却して、弟が経営する会社に融資してしまいました。


 その後、弟が経営する会社は、倒産するはめとなりました。

結局、融資したお金は返ってきませんでした。


 このように、結果的には、娘婿に相続させた財産が、実家の兄弟、すなわち、Aさんから見て「他人」に、渡ってしまったわけです。


 最後まで、それら相続財産は、戻ってくることはありませんでした・・・。


      行政書士  平 野 達 夫

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