~ 前回に続きます ~


 ただし、Aさんのように「財産のほとんどが不動産」という場合には、その遺産分割は大変です。

なかなかどうして、容易にはまいりません。


 それぞれ相続人間で,相続財産、主たる不動産を分けるためには、換金しなければなりません。


 換金するということは、「売る」ことです。

すわち「手放す」ということです。


 被相続人が遺しおいた不動産は、「先祖代々にわたり継承され、それぞれが守ってきた」ものでもあります。


 したがって、売ることに抵抗を持つ方も、少なくないでしょう。

出来ることなら、だれかが継いで欲しいです。

これも自然の気持であります。


 また一方、皆様もご承知のように土地を分ける方法としては、「分筆」というやり方があります。


 当該土地を細かく切って、それぞれを各相続人が持つというものです。


 もちろん分筆によって、各人の財産を自由に処分などしてよいことになります。


 ただし、土地を細かに切って分筆するには、測量などのコストもかかってまいります。


 更に、仲介世話人などへの諸費用がかかってくる場合もありましょう。


 それでいて、土地の利用価値が下がり、将来売る際の価格が下がることも視野に入れなければなりません。


 そもそも、すでにマンションなどが建っている状況では、土地を細かに分けて持っていても、意味はありません。


 なお、今回のケースでは、「土地の共有」という方法が選択されました。


 すなわち、土地の大きさはそのままにして、土地名義を「妻2分の1、長男4分の1、Yさん4分の1」という形にします。


 しかし、この「共有」というケースでは、売ったり、或いは利用形態を変えるに際しては、相続人全員の合意を取る必要があります。


 すなわち、共有者全員の合意を得なければ、各持分の処分はできません。


 もしこの合意が取れなければ、この先長期に亘り、「当該土地は従前のとおり、未処分のまま」となってしまう可能性も出てきます。


 更に考えますことは、これまで「他人」であったYさんと、「一緒に土地を共有し持つ」ということになります。


 気分的にも、決して良いものでないことは言うまでもないでしょう。

あなたは、ストレスが溜まりませんか・・・・。


      行政書士  平 野 達 夫

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