先日私は、新宿の日本年金機構事務所で開催の業務研修に参加する機会を得ました。
その研修の席で、女優渡辺美佐子さんが語る投稿の詩を、ここに書きとめました。
それは、”認知症”を患う一人の高齢老人自身の思いを謳ったものです。
時には果かなく、寂しくも聞こえてまいりますが、その言葉ことばには、老人として生き抜く息吹さえ、私たちに伝わってくるものがありましょう。
「私は、認知症です!」 ~ 親愛なる子供たちへ ~
年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても
どうか そのままの私と 理解して欲しい
私が服の上に 食べ物をこぼしても 靴のひもを結び忘れても
あなたに色んなことを 教えたように 見守って欲しい
あなたと話すとき 同じ話を 何度も繰り返しても
どうか さえぎらずに うなずいて欲しい
あなたにせがまれて 読んだ絵本の温かな結末が いつも同じでも
私の心を 平和にしてくれた 悲しいことではないんだ
お風呂に入るのを いやがるときは 思い出して欲しい
あなたを追い回し お風呂に入った 懐かしい日のことを
悲しいことではないんだ 旅立ちの前の 準備をしている私に
歯も弱り 飲み込むことさえ 出来なくなるかも知れない
足も衰えて 立ち上がることさえ 出来なくなったら
あなたの弱い足で 立ち上がろうと 私に助けを求めたように
よろめく私に どうかあなたの手を 握らせて欲しい
私の姿を見て 悲しんだり 無力だと 思わないで欲しい
あなたを抱きしめる力が 無いのは 辛いことだけど
支えてくれる 心だけは 持って欲しい
それだけで 私には 勇気が湧いてくるのです
あなたの人生の始まりに 私が しっかりと付き添ったように
私の人生の終わりに 少しだけ 付き添って欲しい
あなたが生まれたことで 私が受けた 多くの喜びと
あなたに対する 変わらぬ愛を 笑顔で答えたい
私の子供たちへ 愛する子供たちへ
「私は、認知症です!親愛なる子供たちへ」と題し、体の動きもままならぬまでに年老いた一老人が、じっとくいしばって、歩を進め、その辛さにめげずに生き抜く有様を語っています。
そして、我が子供たちへの微かな願いと、旅立ち前の心境をも謳っています。
急速的に高齢化へと進む今日の社会において、決して他人事とは言えないものがありましょう。
作者不詳で毎日新聞に投稿され、多大の反響を呼びました。
私も以前、この語りの部分を引用して、自著「認知症」シリーズの中でブログ発信しましたところ、全国の読者の皆様から多くのコメントをいただきました。
時の経過もあり、今再びここに、拙文を交え発信させていただきました。
ところで皆様は、どのように受けとめられたでしょうか。
私どもも、ちょっぴり足腰も弱ってきているかも知れませんね。
やや耳も遠く、目もかすむこともありましょう。
でも、今日も、このように元気に生活しております。
時には、街行く方から、「大丈夫ですか」と、温かい声をかけていただくこともあります。
私は何か、むしょうに嬉しく思えてしまいます・・・・・幸せ者です!
もちろん私たちが、永遠にいつまでも、このままの健康な状態でいられないことは、分かっています。
いずれ訪れるであろう自身の衰えの際まで、しっかりと気概を持ち続けたい思いであります。
明日何処かで、あなたに、お会いできるかも知れませんね・・・・・・・。
お元気で! ありがとうございます。
行政書士 平 野 達 夫
U R L http://hr-con.net