認知症の経過には、個人差があるといわれます。

認知症が80代、90代でおこった場合は、脳の委縮が進む前に、別の病気や老衰で亡くなるケースが多いようです。


 また早い時期に始まっても、進行が非常に速い人、その進行が止まってしまう方もあります。


 しかし、認知症によって脳の障害がどんどん進行する場合、精神機能の障害だけでなく、身体機能の低下も起こります。


 数年から十数年の経過で、歩行もできなくなり、寝たきりになります。

最終的には、口から食べ物を飲み込むこともできなくなり、肺炎などを繰り返すようになって亡くなります。

それがため、軽傷のうちから、専門家との信頼関係を築くことが必要といえます。


 認知症が進行して寝たきりになる頃には、自分で介護や医療上の決定すらできなくなります。


 また、早期に診断を受けても、できるだけ自分の力で生きたいと思う人、あるいは、頼るべき人もなく、自分で生きて行かざるを得ない人も少なくありません。


 そういうときは、自立支援事業や「成年後見制度」の「補助」、「任意後見」を活用することをお勧めいたします。


 これらの制度などを十分利用することによって、かなり進行するまで、自分の意思に沿った生活をすることも可能となりましょう。


 終末医療や介護の方針については、信頼できる方に任せなければなりません。

そのため、自分の周りにいらっしゃる方と十分コミュニケーションを保ち、自分の生き方や考え方を理解してもらうことが必要です。


 本人に代わって意思決定を代行するにあたっては、本人のこれまでの人生・価値観、今ある状況や医学的な視点に立ち、予後の見通しなどをも参考にして、決定しなければならないでしょう。


     行政書士  平 野 達 夫

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