認知症になると、身の回りのことに支障が起こってきます。

排泄の失敗を例にとります。


 症状が進行しますと、たとえば、入浴、更衣、排泄、食事など、基本的な生活動作に援助を必要とします。


 排泄の失敗は、本人にとっては、非常にショッキングなできごとでしょう。

これも、まわりの人の対応いかんで、本人のプライドを大きく傷つけずにすませることもできるのではないでしょうか。


 また、排泄の失敗の原因が、1つではないことを理解しておくことも大切といえます。


① トイレの場所がわからなくなる


 トイレの場所の見当障害を起こします。

初めは夜間だが、その後は、日中でもわからなくなってしまいます。


 そのため、トイレの場所を分かりやすくしてあげます。

風呂場とか玄関のたたきなどでは、トイレと間違いやすい場所のドアを隠します。

夜間は、廊下の明かりをつけておきます。


② 衣類の着脱に手間取って、汚してしまう


 脱ぎ着は時間のかからない衣服で、着慣れているものにする。

こうしたちょっとした工夫で、ある程度解決します。


③ 切迫するまで、尿意・便意を感じなくなる


 排尿、排便の周期を観察し、定期的な誘導で対応します。

まだこの時点では、おむつは使わないことです。


④ 尿意、便意を全く感じなくなる


 おむつが必要となるのは、この時になってからです。


 これらの対応には、認知症の方を支えかばってくれる人を必要とします。

したがって、1人暮らしでは困ります。


 なお、排泄の失敗には、前立腺肥大や膀胱炎など、身体の病気が原因のこともあります。


 本人が身体の痛みなど、異常を感じにくくなることもあります。

時には周囲の人が、種々気をかける必要もでてまいりましょう。


      行政書士  平 野 達 夫

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