前述したもの以外について、被後見人の財産の中から、支出が一切認められないというわけではありません。
たとえば、親族や親しい友人の慶弔の際に、常識的な範囲内で支払う香典や祝儀などがあります。
ただしこれといえども、その支出の必要性、相当性については、被後見人の生活費やその他経費に比して、より慎重な判断が求められることもあります。
また、被後見人のために自宅を改築・修理する、被後見人の送迎に自動車を購入したいという場合もあります。
このような多額の支出が見込まれる場合や、その支出の必要性に疑問が少しでもあるケースでは、勝手な判断を避け、先ずは家庭裁判所に相談してみることです。
なお、本人の財産を、配偶者や子、孫などに贈与したり、貸し付けたりすることは、たとえ税法上の優遇措置があったとしても、原則として認められません。
相続対策を目的とする贈与などについても、同様に解します。
すなわち、本人の財産を減らすことになり、加えて、他の親族との間で、無用の紛争を発生させるおそれも出てまいります。
行政書士 平 野 達 夫
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