現在でも、養子の大半は、成人になってからの縁組で占められているようです。
民法の規定では、あらゆる年代の人が、養子になる場合のことを考えてつくられています。
したがって、特別に、幼児が養子になった場合についての配慮までは取られていないようです。
幼児が養子になる場合には、子供と養い親との関係が不安定です。
そのため、その弊害が、児童相談所などからしばしば指摘されるところです。
例えば、「普通養子」の場合ですと、実の親子関係が依然として残るため、実の親やその親族から、子育てへの干渉があったり、扶養義務、相続などの問題が二重に生じたりするケースも多々あります。
また、離縁も可能であることから、立派に育てた後になって、養い親が養子から無視されるなど、養い親の立場も不安定でした。
さらに戸籍簿には、「養子」とはっきりと記されるため、養子と養い親以外の第三者が、いろいろの場面で、横やりを入れてくるなど、トラブルも多く見られました。
そこで、こうした紛争を防ぐとともに、実の親子関係と同じような、養い親と養子の関係を築くという目的から、「特別養子」の制度が設けられたともいえます。
行政書士 平 野 達 夫
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