今までに述べてきた「調停」の制度には、紛争の当事者に対して、一定の配慮がなされ、そのメリットも大きいものがありましょう。
しかし、現実に遺産分割がまとまらずに、「調停」への申立をしますと、家庭裁判所に出頭するだけで、多くの時間が取られてしまいます。
「審判」や「訴訟」ということにもなれば、その手続や審理に、さらに膨大な時間や精力を費やすことになります。
また、解決に向けて、信頼できる弁護士に依頼するにしても、それはそれは弁護士報酬がかかってきます。
その金銭的な負担は、かなりのものとなりましょう。
そのうえ、遺産分割が未分割のままで時が経ますと、税務上、配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減などの特例も受けられずになってしまいます。
そのため、多額の相続税の納付も避けられないことも覚悟しなければなりません。
それより何に増して厄介なことは、紛争がエスカレートすればするほど、今まで良かった相続人同士の人間関係は、崩れてまいります。
分割のの対象となっている肝心の遺産は、減ることはあっても、増えることはありません。
それはそれは、予想だにしなかった大変な事態が訪れてしまいます。
良いことは、何もありませんね・・・・。
したがってあなたもお分かりのように、これには事前に、綿密なスムーズな遺産分割を考えておくことが、非常に大切といえましょう。
ところで、ここでよく考えて見て下さい。
紛争に至った責任の一旦の多くが、やはり財産を遺す側の立場にある親にあるということです。
紛争の当事者は、相続人の立場の子供たちであり、時には広い意味での被害者とも言えます。
すなわち、元ををたどっていきますと、その紛争が、生前の親の言動に原因があることも、少なくないようです。
ここで、今のうちから家族の皆が納得する対策を立てておくことを、あなたにお勧めしたいと思います。
その対策は、決して早くはありません。
今すぐ、具体的に取りかかって見ては、如何でしょうか・・・・・。
行政書士 平 野 達 夫
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