相続人が多数いて整理がつかない、相続人が遠隔地に散在して連絡をとることも難儀し、大変なことがあります。
或いは、いろいろ事情があって他の相続人に会いたくない、「遺産分割協議」に参加しない相続人がいて、この遺産分割協議さえできないケースもありましょう。
このような場合には、家庭裁判所に「調停」を申立することができます。
相続人の全員が家庭裁判所に出頭するのがもちろん原則ですが、たとえば、遠隔地にいる人や病気などで動けない人については、家庭裁判所の調査官が出向いて意向を調査し、意思の確認をすることも可能です。
一般的な遺産分割協議では、各自の署名と印鑑証明書と実印による押印を必要とします。
しかし、調停においては、遺産分割協議書に代わる「調停調書」を作成する際には、相続人の全員が出頭して、署名、押印することまでは求めません。
すなわち、相続人各本人の意思確認ができれば、調書作成ができます。
しかもこの「調停調書」は、「確定判決」と同じ法的効力があり、強制執行などもできます。
家庭裁判所の「調停」は、公正という点では、安心して遺産分割できるといっていいでしょう。
行政書士 平 野 達 夫