遺産分割をめぐるトラブルは、「調停」ではどのように解決が図られるのでしょうか。
調停事案で最も多いのは、相続人同士の感情的対立が激しく、遺産分割の協議ができないケースです。
調停委員は、先ずは相続人間での争点となっている事項を把握・整理します。
その上で、合意への可能性を探ります。
相続人の性格、育った家庭環境、生活状況などが複雑に絡み合った主張の応酬が続きます。
その背景を探り、相続人同士で合意の可能性があるものかどうか、もし合意が難しければ、不成立にすべきかどうかをも視野に入れて、更に調停を進めてまいります。
中には、時間をかけているうちに、相続人の高ぶった感情が徐々におさまり、解決に協力してもらえる状態になることもあります。
また、対立状況にある相続人や弁護士が話すよりも、審判官から直に説得されると、かたくなな気持ちが和らぎ、素直に従うというものでしょう。
このように「調停」の良いところは、ただ法律的に処理するのではなく、あくまでも当事者の「合意」を前提として話し合いを進めることです。
たとえば、法律的に帰属に問題がある預金などについても、当事者が合意すれば、それを遺産分割の対象とするかしないかを決めることができます。
審判や訴訟になりますと、その立証条件が厳しく、認められないケースも多いものです。
「寄与分」や「特別受益」についても、やはり、当事者が合意すれば、遺産分割を考慮することができるというメリットが出てまいります。
行政書士 平 野 達 夫
U R L http: //hr-con.net