「公正証書遺言」が望ましいケースとして、更に例をあげてまいります。
(6) 放蕩息子に相続させたくない
相続人廃除の要件に該当していることが前提となりますが、遺言によっても可能です。
被相続人の遺言による廃除として、民法第893条には、「推定相続人の廃除」につき、規定されています。
すなわち、被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません。
(7) 愛人との間の子供を認知したい
遺言で認知すれば、その子は相続人になることができます。
自分の意志による認知として、遺言書に基づいて遺言執行者が、その届出をすることができます。
遺産分割については、完了していない場合は、この認知された子を含めた遺産分割協議に入ることになります。
すでに分割が完了してしまっている場合は、その分割は有効とされます。
すなわち、遺産分割のやり直しはしません。
そのため、前述の認知された子は、他の相続人に対して、「代償財産の請求」をすることになります。
(8) 愛人との間の子に財産を残したい
非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1です。
認知の問題を含め、その法定相続分よりも多く残したい場合などは、遺言が必要となります。
(9) 未成年の子の将来が心配
遺言で、「未成年後見人」を決めることができます。
(10) 相続人がいない
遺言書の中で、財産の使途や処分方法など記載しておくことができます。
行政書士 平 野 達 夫