遺言者の思いがうまく伝わるかどうかは、遺言書の末尾に記載する「付言事項」がポイントになります。
遺言書の本文は、財産の指定などの記載が主なものになりますが、それとは別に、相続人に残す言葉を付け加えることが認められています。
たとえば、遺言で財産を特定の人に相続させるとした理由や、家族への思い、お世話になった方への感謝の気持ち、これからの事業の発展などを記しておくというものです。
このメッセージには、法的な効力はありませんが、遺言者の最後の意思表明となります。
相続人にとっても、非常に意味の重い言葉ともなりましょう。
それだけに、書き手である遺言者自身の心情がこもったものであればあるほど、効果は期待できます。
この「付言事項」について、現代社会の親子関係や他人任せの介護の現実を見ますと、大きな期待はできないという消極意見もありましょう。
また、法的な効力を持たないという理由から、必要ないものと最初から無視した遺言書もあります。
遺言書を書くということは、自身の遺作となる「シナリオ」を執筆することと考えてみては、いかがでしょうか。
時には、遺言する方の感動のシナリオでもあります。
自分はどう生きてきたか、家族には何を望んでいるのか、そして何をしてあげるのがベストなのかを思いめぐらし、そのシナリオを組み立てます。
時間は、たっぷりあります。
お節介や独善的なものでない限り、必ずやあなたの真意は、相続人の皆様に伝わることでしょう。
是非、伝えたいですね。
行政書士 平 野 達 夫