ここで「寄与分」について、少し触れてみます。
寄与分とは、被相続人の財産の維持・形成に特別の働きをしたり、献身的に療養看護などを行った相続人がいる場合に、相続人間の公平を図る上から、その人の法定相続分に寄与に相当する額を加えた財産の取得を認めるというものです。
ただし、被相続人に対する療養看護については、一生懸命、被相続人の世話をしたということだけでは、寄与にはなりません。
社会通念上期待されるような貢献の程度を越えている場合にはじめて、特別の寄与に該当しているといえましょう。
したがって、寄与分として入れるかどうかは、相続人間では、なかなか容易としないものも出てまいります。
ところで、遺産分割協議においては、しばしば相続人以外の人が主導権を握っていることがあります。
そうです。それは、相続人の配偶者であることが多く見られます。
「あなた、しっかりと相続財産を確保しなさい!」といったような具合ですね。
相続人がそれぞれの主張をする際、時には配偶者にお伺いをたてるようなことがあるようです。
何といっても、妻は怖いんでしょうかね。
これでは、何時になっても話はまとまりません。
兄弟二人だけの話し合いで、流れは変わってまいります。
配偶者さんには、一先ずご遠慮いただきましょう。
それぞれ兄弟は、「もめたくはない」ということでは一致しているようです。
やはり配偶者の手前、必要以上に主張してきたという部分がそれぞれにあったのでしょう。
相続人である二人の兄弟は、共に相手の主張にも耳をかしつつ、話は進みます。
この結果、最終的には兄がすべての財産を承継し、その代わりに代償財産として、兄は、全財産の4割強を現金で弟に振り込むという内容となりました。
双方の要望通り、遺産分割協議書への署名、押印となり、遺産分割協議を終了しました。
ひとまず、良かったですね。
行政書士 平野 達夫
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