遺言書を書くというと、どうしても心理的に抵抗がある方もおられることでしょう。
80歳代や90歳ほどの高齢者になりますと、「書く心の準備」は、できているかも知れません。
ところが、60歳代、70歳そこそこですと、「自分が死ぬなんて、まだ先のこと」なんて考えている人も、結構いらっしゃいます。
もちろん、長生きすることは素晴らしいことで、「まだまだこれから・・・」という気概を持ち続けることは、大切です。
ただ一時的にせよ、自分の死後の世界を想像しての遺言書には、なかなか踏み切れないことも、これまた、理解できるところです。
しかし、世の中に絶対ということがないことも、事実です。
「兄弟は他人の始まり」という言葉があります。
「自分の子どもに限って大丈夫、いつまでも仲良くしていく」などと思っていても、その子供たちも、独立して家庭を持ち、やがて兄弟間の関係も希薄になってしまうというのが平均的な姿でもありましょう。
たとえば、父親が死んで相続が開始したとき、その遺産をめぐって母と子の間での争いは、ほとんど起きないとしても、子供同士では多少なりとも見られるところです。
したがって、争いは絶対に避けたい、嫌だというのであれば、現在の自分の年齢がどうであれ、遺言書を残しおくことをお勧めいたします。
また、それでも「遺言書」という言葉に抵抗があれば、「生前贈与」は如何でしょうか。
それも一つの選択肢として、考えてみたいと思います。
行政書士 平 野 達 夫