相続争いの原因を、すべて時代や社会背景のせいにするわけにはいきません。
相続財産のもめる原因の一つに、財産自体が分配に適しない性質を有していることがあります。
これは、遺産分割をより難しいものにします。
たとえば、親の形見です。
高価な貴金属を例にとりましょう。
形見の現物を分解するなんて、とてもできないことです。
親にしても、子供にしても、そこまでは望まないでしょう。
家や建造物などにとっても、同じことがいえます。
家を二つに壊してまでも、分けるわけにいきませんね。
農地を幾つかに分けたり、宅地などの土地を細かに分割することは、時には無理なことかも知れません。
それが持つ経済的価値が、失われもします。
また、夫の死亡の直後に、夫の預金を無断で商品の購入代金に充てたとしても、その購入代金は遺産に含まれるか、という問題があります。
なかなか難しいところです。
相続問題は、身内の人間関係というデリケートな事柄であるため、割り切って考えることに向かない性質を持つことも出てまいります。
たとえば、長年親の介護をしてきた姉としては、介護をしていない他の兄弟と同じには出来ないものがありましょう。
姉としては、同じ額の相続分しかないことには、納得できないと言うかも知れません。
更に、先妻の子と後妻の子との間では、感情の対立が出て、互いに相手が相続を受けることに、快く思わないかも知れません。
以上のように、相続財産の種類・性質により、終結に至るには大変です。
でも、解決しなければなりません。
避けては、通れませんね。
行政書士 平 野 達 夫
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